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 将来、消え去る恐れのある「消滅可能性都市」は、全国で896自治体――。人口減少の現実に市区町村を直面させた「日本創成会議」による提言から6年。新型コロナウイルスの感染拡大で人々の行動や社会のあり方が大きく変わろうとしている今、「限界先進国」の日本は危機から脱することができるのか。会議に参加した明治大学の加藤久和教授(社会保障論)に改めて話を聞いた。

拡大する写真・図版加藤久和・明治大教授

 ――新型コロナの蔓延(まんえん)で日本社会は大きな打撃を受けていますが、これは人口減少、少子高齢化という国家的課題にどのようなインパクトを与えるでしょうか。

 「のちほどお話しするように、いくつかの観点で大きな影響があると考えられますが、政府は新型コロナウイルスに対処することで精いっぱいのようです。人口問題は感染症対策よりも長期的に考え続けなければならない問題ですが、今のままで持続可能な社会が維持できるのか、日本はコロナに難題を突きつけられているように見えます」

 《増田寛也元総務相が座長を務めた政策提言機関、日本創成会議の人口問題部会は2014年、10~40年の30年間で、20歳から39歳の女性人口が半分以下になる市区町村について『急激な人口減少に遭遇する』と推計。この896自治体を「消滅可能性都市」として発表した。これは全国の市区町村の約半数に当たり、過疎地だけでなく東京都豊島区や大阪市の一部の区も含まれる》

 ――消滅可能性都市に名指しされた自治体は当時、大きな衝撃を受けました。あの提言を出すに至った狙いを改めて教えてください。

 「当初、日本にとって大きな課題である少子化問題について議論を始めました。そこで、出生率が高い地方から低い首都圏へ、人がどんどん流出している点に注目したのです」

 「特に若い人たちが地方から東京に集まっている。主に子どもを産む年齢である20歳から39歳の女性がいなくなれば、いくら出生率が高くても生まれる子の数が減っていきます。それは地方の衰退を招くと同時に、東京に住む若い人たちのワーク・ライフ・バランスを支えるインフラ、保育園などの不足を招き、出生率をさらに押し下げる」

 「その両方が日本をさらに厳しい状況に追い込むのは明白です。特に若い女性が半減する地域は存続が困難になるでしょう。『地方消滅』という言葉は、実はそんな意図で私が最初に言い始めました」

 ――多くの人がうすうす感じていたことを言葉にしたということですね。全国の自治体で大きな話題になりました。

 「座長をした増田寛也さんの発信力が大きかった。当時、地方消滅と同時に『ブラックホール』という言葉も使いました。東京が若い人を吸い寄せ、低出生率のわなで人口減少をさらに進めるという意味で使ったのですが、地方消滅の方が言葉の力があったようです」

 ――あの提言によって、状況は変わりましたか。

 「残念ながら、まるで変わって…

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