[PR]

 NHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)の「エール」で、舞台の一つ愛知県豊橋市が新型コロナウイルスのあおりで大型連休の観光効果を得られないまま、物語の舞台が東京に移った。市などは夏休みの集客に期待をつなぐが、コロナ禍が終息するか、エール効果が続いているか、気をもんでいる。

 豊橋市はヒロイン関内音のモデル古関金子の故郷。市はもう1人の主人公古山裕一のモデル古関裕而(ゆうじ)の故郷福島市とともに朝ドラ誘致を実現させ、豊橋市や近隣の城跡、神社、廃校などでロケが実施された。

 市は放送が始まった3月下旬以降、パブリックビューイングや巡回パネル展を計画していたが、新型コロナの影響で軒並み中止や延期に。大型連休中の集客を狙って東京都板橋区の商店街で予定していたイベントも中止に追い込まれた。

 そんな中、ロケ地の一つの表浜海岸に車が出入りし始め、休日には駐車場が埋まるようになった。表浜海岸は音が裕一に豊橋を案内する場面や主題歌が流れる場面の映像にも使われており、SNSなどでファンに広まったらしい。

 密集を警戒する市は大型連休前、海岸につながる道路11カ所に来訪自粛を求める看板を設置した。連休中には職員らが巡回し、海岸への人出は例年より激減した。

 一方、海岸近くの「道の駅」などの飲食・物販施設も連休中に休業を強いられた。朝ドラ誘致に取り組んだ豊橋観光コンベンション協会の担当者は「関西からの団体ツアーも断らざるを得なかった。ドラマにちなんで縁結びの土産品も準備していたが、販売する機会がなかった」と話す。

 それでも市には全国から「金子の資料や観光パンフレットを送ってほしい」「(放映された)手筒花火について教えてほしい」などの問い合わせが200件余りあった。「条件が整えば、必ず訪れてくれると手応えを感じる。せっかくの誘致を徒労には終わらせたくない」と担当者は話す。

 市などは夏休みをにらんで、海岸近くに観光バスの駐車場を探したり、インスタ映えする場所を設けたりするなど、ロケ地めぐりの準備を進めている。佐原光一市長は「この地域のすばらしさは発信された。コロナ終息後にどうつなげるかだ」と話す。(本井宏人)