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 山形県内の事業者に対する休業要請は11日、大半が解除された。営業を再開する店、休業を続ける店……。マスク着用や消毒、換気を徹底しなければいけない、新たな日常が始まった。

「久々、気持ちいい」蔵王温泉

 山形市の蔵王温泉を11日昼ごろ訪ねると、多くの飲食店や宿泊施設で休業が続く中、一部の店などは営業を再開していた。ただ人の姿はまばら。「10日まで臨時休業」という貼り紙が掲示されたままの店もあった。土産物店「雪ぐら」の店主は「たばこを買いに近所の人が来るくらいで、観光客はいないね」。

 約1カ月ぶりに営業を再開した日帰り温泉施設では、駐車場に10台ほどの車が止まっていた。白鷹町から来た60代の夫婦は「久しぶりの温泉。気持ちよかった」。ほかの客からは「県民にとって温泉は社会インフラのようなもの。再開はありがたい」との声も。

 78の宿泊施設が加盟する蔵王温泉観光協会によると、この日から少なくとも4施設が営業を再開した。

 その一つ、旅館「吉田屋」は、常連客からの問い合わせや「働かない方がむしろ塞ぎ込んでしまう」との従業員の声を受けて再開を決めたという。午後3時過ぎ、宿泊客に対応していた佐藤千草社長は「お客様を迎えてこそ、私たちも元気になれる」と話した。

 ただ、当面は多くても1日4~5組の受け入れにとどめ、間隔を空けて客室を用意するなど感染防止対策を徹底する。「旅館に泊まりながらのテレワークなど、新たな需要が生まれるのを楽しみにしている」

 休業の延長を決めた施設もある。5月末まで休業予定の蔵王アストリアホテルの担当者は「緊急事態宣言が延長され、全国的にまだ終息が見通せない。今のうちに設備のメンテナンスなどを進めておきたい」と話した。(西田理人)

「心落ち着く」霞城公園 「早く平常に」ゴルフ場

 山形市の霞城公園の東大手門前では11日午前10時、ゲートが開かれ、閉鎖がほぼ1カ月ぶりに解除された。

 作業を見守っていた市民ら約20人は急ぎ足で橋を渡り、園内へ。木々の緑が色濃くなった園内では、サイクリングを楽しんだり、木陰でくつろいだりする人たちの姿もあった。近くに住む武田茂さん(68)は「(閉鎖前は)園内を毎日、散策していたので解除はうれしい。緑の中を歩くと心が落ち着く。日常の暮らしの一つが戻ってきた」と笑顔で話した。

 施設内店舗の従業員の感染が確認され、4月19日から営業をやめていた道の駅米沢(米沢市)も再開。当面は午後4時までの短縮営業とし、無料休憩所はテーブルをこれまでの半分以下の四つに減らして間隔も広げ、客にはマスクの着用と手指の消毒を求める。

 訪れた南陽市の40代の女性は「これまでも時々寄っていた。またいろんな人が活用できれば良いと思います」。坂川好則駅長は「まずは地元の皆さんに役立てるようにしていきたい」。

 山形市の蔵王カントリークラブもこの日、営業を再開したが予約は普段の2、3割ほど。総支配人の武田文雄さんは「5月は新緑もきれいな良い季節なのでもったいない。早く平常に戻ってほしい」と話した。

 県から感染防止策の徹底を強く要請されたパチンコ店。県遊技業協同組合の求めに合わせて、どの店も従来より1時間遅い午前10時に開店した。ドアを開放して換気を図り、遊技台は1台おきに稼働させた。出入り口を1カ所に限定して検温を実施する店もあった。

 山形市中心部のパチンコ店では開店後から来客がぽつりぽつり。来店した市内の居酒屋従業員の男性(28)は「周りがどういう目で見るかわからないけど、時間つぶしにちょうど良い。対策をしているのも良いと思う」と話した。

「お客来るか」そば街道

 県内外のそば通が足を運ぶ「大石田そば街道」は、14店中8店が営業を再開。大石田町によると、残る6店のうち3店は「集客が不安だ」といった理由で、再開時期が未定だという。

 「手打ち大石田そば きよ」店長の高橋厚志さん(45)は「お客さんが来るのかどうか」との不安を抱えながら、ほぼ半月ぶりにそばを打った。お昼時に来客も続いたが、いつもより少なめに打ったそばは半分ほど余ったという。新たに生そばの販売の準備も進めており、「コロナに負けないで、次の展開へ頑張っていきます」。

 2日のテイクアウト営業を最後に休業していた山形市中心部の焼き鳥居酒屋「串蔵みつる」。11日は通常通り午後5時から開店した。客足が戻るか見通せず、どれぐらい売り上げにつながるかはわからないが、店長の会田毅さん(53)は「開けないとお客さんに忘れられてしまう」。午後11時までの営業だが客が来なければ早めに閉店するという。(江川慎太郎、石井力、鷲田智憲、上月英興)