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 1891(明治24)年5月11日、滋賀県大津町(現在の大津市)の路上で、ロシア帝国のニコライ皇太子が日本人警察官によって斬り付けられ、負傷する事件が起きました。大国ロシアの皇太子を狙ったテロは「大津事件」と呼ばれて世界中を震撼(しんかん)させました。12日でそれから130年目の年に入りました。

 その大津事件に関する資料が、琵琶湖文化館に所蔵されています。津田三蔵巡査がニコライを襲った凶器の官給サーベル(中身は日本刀)、ニコライの血をぬぐったハンカチ、難を避けたニコライが座った民家の床几(しょうぎ)(腰掛け)や座布団、尋問調書や電報を含む文書記録類など99点を数えます。

 さびたサーベルには刃こぼれがあり、ハンカチにはニコライの血痕が今なおはっきりと認められます。いずれも生々しい歴史の証人といえるもので、明治時代の納入木箱に厳封されて伝わりました。

 事件は犯人への量刑をめぐって司法権の独立を守ったことでも知られています。そんな中、資料では、皇太子の血が流れた「聖地」を買収しようとしたロシア正教の動きを、ひそかに阻止した内務省や滋賀県の動きが克明に記録されており、その内容も注目されます。(主幹 井上優)