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 新型コロナウイルスの影響で学校の休校が続く中、奈良市立中学校で11日、オンラインでの学習支援が本格的に始まった。当面はホームルームや授業の配信をおこない、18日からは生徒と教師がやりとりする双方向の授業を始める予定だ。

 市は、休校が始まって間もない4月13日の時点で、オンライン学習支援を始めると発表。だが、大人数が一斉にアクセスすることでシステムトラブルが相次ぎ、計画は難航していた。

 このため、1人1台の端末を配る文部科学省の「GIGAスクール構想」向けに導入を予定していた米グーグル社のサービスを、約半年前倒して利用。利用環境がない家庭にタブレット端末やWiFiルータをそれぞれ約400台貸し出す。小学校でも高学年から準備ができ次第始める予定だ。

 オンライン授業は英語、数学、国語、理科、社会の主要5教科が対象。1コマ40分の授業を各教科、週に2回、3週間にわたって配信する。時間割も決めて、決まった時間に見てもらうことで生徒の生活リズムを安定させる狙いがあるという。(米田千佐子、福岡龍一郎)

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 11日午前9時、奈良市三条本町のはぐくみセンターで指導主事による授業のライブ配信が始まった。「みなさん、おはようございます。1回目の授業で緊張しますね」。中1の国語を教える市教育委員会の中西利彦指導主事(40)がカメラに話しかけた。

 授業のスケジュールを説明した後、画面を切り替えて事前に録画した文法についての講義ビデオを約20分間流した。中西指導主事は「生徒のリアクションや表情が見えないので、どれだけ理解できているか分からず難しい。次回は録画を使わずに授業全体をライブで配信したいです」。

 各校でオンライン上のホームルームも行った。奈良市西木辻町の春日中学校では学級ごとに「朝の会」を開いた。午前9時半、生徒はアンケートを提出することで出席を伝え、メッセージ機能で担任の教師と簡単なやりとりをした。生徒一人一人とメッセージを交わした野木昌直教諭(32)は「距離は離れていても教室や友だちとつながっているんだと思ってもらいたいです」と話した。(米田千佐子)

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 奈良市立学校の教職員でつくる市公立学校教職員組合は11日、市が進めるオンライン学習支援の一時停止を求める申入書を同日付で市長と市教育長宛てに提出し、発表した。

 申入書は「教員は十分に研修を受けておらず、必要な基本スキルを習得していない上、生徒のネット環境の公平性などが確保されていない現状で教育格差を拡大する」などと指摘。11日から本格的に始まった市のオンライン学習支援を一時停止し議論や研修をしたうえで取り組むべきだと主張した。また、学校再開後の教育活動や感染症対策について各学校に方針を早急に示すよう求めた。

 増田順計書記長は取材に「オンライン学習支援の準備に追われて学校現場は疲弊している。今後の学校再開に向けて、教育や感染症対策への準備に力を入れるべきだ」と話した。(福岡龍一郎)