日韓友好の木、何度も折られる 「異論あるなら言論で」
小西良昭
京都府宇治市に植えられているムクゲが、何度も折られている。戦時中、留学先の京都で治安維持法違反容疑で逮捕された韓国の国民的詩人・尹東柱(ユンドンジュ)(1917~45)の記念碑前にあり、碑を建てた市民団体が11日に会見し「命を大事にする思いを込めた碑の前で、木の命を傷つけるのはやめてほしい」と訴えた。
尹は43年、同志社大の学友らと宇治川上流の天ケ瀬つり橋などを訪れ、その写真が残る。43年7月、朝鮮独立運動に関わったとして逮捕され、27歳で福岡刑務所(福岡市)で獄死した。その歴史を刻もうと、つり橋と天ケ瀬ダムの間の宇治川右岸に2017年10月、市民らが「詩人尹東柱 記憶と和解の碑」を建てた。
碑の建立委員会などによると、ムクゲは昨年10月、碑の建立2周年に合わせて宇治市と在日本大韓民国民団府地方本部が整地した際に韓国民団側が植えた。韓国の国花で、両国友好を願い「尹の心が安らかになれば」と選んだという。高さは1メートル以上あったが、年末から枝などが何度も折られ、低くなったという。
この日、建立委員会代表の安斎育郎・立命館大名誉教授と紺谷延子事務局長が市役所で会見した。注意書きの掲示を検討しているといい、安斎代表は「もしも異論があるのなら、言論ですべきだ」と語った。(小西良昭)
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