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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から発がん性の疑われる有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が流出した問題で、在日米軍は11日、消火剤が漏れ出した格納庫周辺の土を日本側に提供した。米側は応じていなかったが、汚染の実態を調べるには必要だとして県と市が求めていた。

 米側は4月24日、汚染の可能性があるとして、格納庫周辺の土を取り除いていた。防衛省や県によると、11日はこの除去した土と、泡消火剤が基地外に流れ出る際に通った排水路周辺の8地点の土を採取し、日本政府と県にも提供した。これまでに採取した水と土とあわせ、米側と日本政府、県がそれぞれ成分を分析し、汚染の実態を調べる。

拡大する写真・図版サンプリング調査のため、日本側立ち会いの下、土を小分けする在日米軍関係者(左から2番目、2020年5月11日、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場、防衛省提供)

 県の担当者は「基地内のサンプリング調査はこれで終わりという認識だ」と語った。防衛省の担当者も「必要十分なものは得られた」としており、今後の焦点は土や水の分析結果に移る。

「説得に応じてもらった」

 河野太郎防衛相は4月24日の記者会見で、除去土を調べる必要性について否定的な考えを示していた。しかし、日本政府関係者によると、除去土の提供は県が強く求めていたため、改めて米側と調整し、「説得に応じてもらった」という。

 PFOSは自然界では分解されにくい特徴があり、数年かけて地下水を汚染する恐れもあることから、専門家は土壌調査の重要性を指摘していた。

 日本側が日米地位協定の環境補足協定に基づき、普天間飛行場内への立ち入り調査を行うのは、11日で5回目。(藤原慎一、寺本大蔵、北見英城)

泡消火剤流出をめぐる経緯

4月10日 普天間飛行場の消火設備から、発がん性の疑われる有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤が漏れ、基地外に約14・4万リットルが流出

  14日 日本政府が在日米軍に抗議し、日米地位協定の環境補足協定に基づく立ち入り調査を初要請

  16日 日本側が初めての立ち入り。泡消火剤は格納庫に保管されていたが、流出当時は扉が開いていたことが判明

  21日 米側が水のサンプリング調査を実施。流出経路の3カ所から計24リットルの水を採取し、日本側にも提供

  24日 土壌汚染の疑いがあるとして、米側が漏出元の格納庫周辺の土壌を掘り起こして除去。県と市は除去した土壌の提供を求めたが、米側は応じず

5月1日 米側が土壌のサンプリング調査を実施。除去後に残った土を採取し、日本側にも提供したが、除去済み土壌の調査には応じず

  11日 米側が再び土壌の調査。除去済み土壌も提供