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 新型コロナウイルスの感染ペースが鈍ってきたことで、県の休業要請はこの週末から多くの施設で解除される。ただ、大都市圏での感染は依然止まらず「県外からの利用者お断り」はしばらく続きそうで、宿泊・観光施設は自粛と再開のはざまで頭を悩ませている。(遠藤和希、里見稔、近藤幸夫)

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 「どうしてもこの冬の滑り納めがしたかった」。

 10日に愛知県から1人で志賀高原の横手山・渋峠(しぶとうげ)スキー場(山ノ内町)を訪れた50代男性は、取材にこう話した。ホテルや飲食店は休業が多く、宿泊も食事も車の中で済ませたという。

 「コロナで疲れた地元の人たちを元気にしたい」と今月7日から営業を再開した同スキー場は、長野・群馬両県民であるとの誓約書を書いてもらい、マスクやゴーグル、手袋の着用を求めて感染防止に努める。

 ただ、9、10日の週末は、首都圏や関西からの車が目立った。担当者は「不本意だが、スキーを愛する人たちを断ることもできない。利用者にはモラルを守ってほしい」と話す。

 旅館やホテルは、県の方針では15日で休業要請が終わる。一方で、県外からの観光客を呼び込まない「信州の観光はお休み」キャンペーンは31日まで続くため、各施設で再開か自粛継続かで判断は分かれる。

 千曲市の戸倉上山田温泉の「亀清旅館」は、16日からの再開を決めた。

 「小さい宿にとって客のウェブ上の口コミが大事だが、マーケティングも宣伝もあまりできていない」。こう嘆くのは旅館を営むタイラー・リンチさん(49)。4月の売り上げは前年比で86%減。客層は海外から2割、県外が5割程度といい、来てほしいが積極的に呼び込むわけにもいかないとのジレンマに悩む。

 野沢温泉村豊郷の「桐屋(きりや)旅館」は、村内に高齢者が多く、今月末まで営業を見合わせる見通しだ。片桐アキラ取締役(53)は再開時期の悩みが尽きない。「現実的に来た方を追い返すわけにもいかず、県外だったとしても帰ってもらうのは商習慣として難しい」

 軽井沢プリンスホテルは31日までの休業を決め、それ以降は検討中。諏訪市の「上諏訪温泉 浜の湯」は、県内の客に限り20日から再開する予定という。

 北アルプスの玄関口、上高地(長野県松本市)も、16日から「再オープン」。路線バスが1日3往復の特別ダイヤで再開されるほか、乗り入れを自粛していたタクシーも小規模ながら営業を始める。

 「観光客が来るのに、ホテルが休業では上高地を楽しんでもらえない」と、再開を決めたのは「上高地ホテル白樺(しらかば)荘」。予約受け付けの段階で県外客かどうかを確認しており、今のところ5月の予約は県内客を含めてほぼゼロという。

 同ホテルは感染防止の対策に努めて営業するとしている。ただ、「5月中は県外からの来訪を自粛してほしい」(環境省の大嶋達也・国立公園管理官)との意見もあり、地元でも判断が割れているのが実情だ。