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 原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す日本原燃六ケ所再処理工場(青森県)について、原子力規制委員会は13日、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書案を了承した。燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」の中核施設が本格稼働に近づくことになるが、残る詳細設計の審査や工事に時間がかかり、工場の必要性も薄れているため、先行きは不透明だ。

 規制委は30日間の意見募集後、審査書を正式決定する。本格稼働には地元の青森県や六ケ所村の同意も必要。工場は1993年に着工。原燃は2021年度前半の完成をめざすが、完成時期はトラブルなどでこれまでに24回延期され、建設費は当初の4倍の約2・9兆円に膨らんでいる。

 再処理工場は、全国の原発から集めた使用済み核燃料を切断し、硝酸で溶かしたうえで、燃料に再利用できるプルトニウムとウランを回収する化学工場のような施設。高濃度の放射性物質を複数の建屋で処理し、人が容易に近づけない高レベルの放射性廃液を出す。放射性物質を炉心に集中させて核分裂反応を起こす原発とは異なる、特有の危険性がある。

 原燃は14年に新基準に基づく審査を申請。地震の揺れの想定を大幅に引き上げて耐震性を高めるなどしたほか、高レベル廃液が沸騰して放射性物質が建物の外に放出される重大事故などを想定し、これを閉じ込めたり取り除いたりする対策をとった。規制委は約6年で113回の審査会合と5回の現地調査を実施。対策を妥当と判断した。

 核燃料サイクルは、使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出し、再利用する政策。資源の有効活用やエネルギー安全保障につながるとして、原発が導入された当初から国策として推進されてきた。再処理工場とは別の工場で、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料に加工して利用する。これまでは英仏に委託してきたが、国内でできるようにする構想だ。

 だが、現実にはプルトニウム利用は広がらず、政策は行き詰まっている。フル稼働すれば年7トンのプルトニウムを取り出せる六ケ所再処理工場は、完成しても稼働率を抑えざるを得ない状況にある。

 かつて主な使い道とされた高速増殖炉は、原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉でめどが立たない。代わって主力になったのが、ふつうの原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電だが、実現しているのは東京電力福島第一原発事故後に再稼働した4基だけで計画の3割にとどまる。日本はすでに国内外に約46トンのプルトニウムを保有。核兵器に転用可能で国際社会に懸念があるため、内閣府の原子力委員会は18年に削減方針を決定。使う分以上に取り出すことはできない。

 それでも国や電力会社などは、核燃料サイクルの推進を掲げ、中核施設である再処理工場の必要性を訴え続けている。(小坪遊、桑原紀彦)