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 新型コロナウイルスに最前線で対応している医療従事者の悩みや不安をオンラインを通して聴く活動を臨床心理士や、東日本大震災をきっかけに誕生した臨床宗教師らの有志が始めた。張り詰めた現場で抱え込んだ心の重荷をはき出してもらえる場にしたいという。

 活動を始めたのは「感染症と闘う医療従事者の話を聴く会」。上智大学大学院実践宗教学研究科に関係する研究者や医師らが世話人を務め、公認心理師や臨床心理士のほか、苦しみや悩みに耳を傾けケアにあたる傾聴専門職の臨床宗教師や、スピリチュアルケア師らの有志が相談にあたる。

 臨床宗教師は震災後に東北大で養成が始まり、特定の宗教・宗派の布教伝道はしない。スピリチュアルケア師も、学会が認定する大学機関などの教育プログラムや試験を経て、認定される傾聴専門職で、オーラや霊を重視するスピリチュアルとは異なる。

 家庭医で世話人代表を務める井口真紀子さん(39)によると、診療した患者に感染の疑いが生じ、濃厚接触者として自宅待機となった医師や、精神的に追い詰められて離職を希望する看護師など、周辺でもさまざまな悩みや不安を抱えながら現場に立つ医療従事者の声を聞くという。

 「もしかしたら自分が感染させてしまうかもという不安が強いストレスになっている。これまでなら不安な気持ちを同僚らとゆっくり話すなかで解消できていたが、コロナ対応では感染リスクがあり難しい」

 こうした現状を知り合いの心理専門職や傾聴の有資格者に相談したところ、有志が集まった。

 世話人副代表の井川裕覚(ゆうがく)さん(34)は臨床宗教師・スピリチュアルケア師として病院に勤務するが、専門性やプロ意識の高い医療従事者が自身の弱みやつらさを人に話せなかったり、ストレスを抱えて苦しんでいることを自覚していなかったりする場合もあると感じている。「自身の心の重荷をはき出す心の棚卸しをする時間を持ってもらえれば」と話す。

 医療機関で働くすべての人を対象に、会のホームページ(https://careforcovidfighte.wixsite.com/caremedical別ウインドウで開きます)から予約を受け付け、オンライン会議システム「Zoom」を使って1対1で話を聴く。1回40分程度で基本は1回で終了。状況に応じ5回まで無料。準備が整えば、グループで自由に話せる場も設ける予定だ。(久保智祥)