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 今春の第92回選抜高校野球大会で北信越地区の21世紀枠候補校に選ばれた敦賀(福井)。そこで評価された「自主練習環境の個別プロデュース」が、休校期間中に生きている。

 遊撃手の秋田大我(3年)は毎日、自宅にある集球ネットに向かってティー打撃に励んでいる。使うのは、長さや重さが違う6種類のバット。吉長珠輝監督が、4月上旬に用意したものだ。

 昨秋の公式戦7試合で10犠打とつなぎに徹した2番打者が課題としていたのが、「打力向上」だった。吉長監督が言う。「秋田は想像力があり、何にでもチャレンジしてくれる。なので、自分で練習方法を編み出せるような環境を考えました」。バットを秋田の自宅の玄関先に届けた。

 県立校の敦賀は、もともと練習環境が限られていた。グラウンドは狭く、完全下校が午後7時のため、練習時間は2時間弱。そこで吉長監督が目をつけたのが自主練習のあり方だった。家庭環境によって、できる練習に差がある。だから、個々の部員宅を訪れて、一緒にメニューを考えてきた。

 「技術指導ばかりではなく、自分で工夫するきっかけを与えるようにしてきました」と吉長監督。球速アップが目標の投手には、重さの違う練習球を渡した。近所の砂浜を使ったトレーニングを紹介したり、部員宅の集球ネットの補修を手伝ったりすることもあった。

 新型コロナウイルスの影響で、2月の試験期間から3月下旬まで、全体練習が禁止に。その後、1週間ほどは短時間での練習ができたものの、感染拡大を受けて長い休校期間に入った。

 その間、吉長監督は部員の自宅に学校にある練習道具を届けた。集合住宅に住む部員には感染対策の知識を共有。LINEなどを通じて選手と保護者を励まし、自主練習のサポートを続けてきた。「『いまできることをやろう』とポジティブな言葉を伝えてきました」と振り返る。

 大学進学を考えている秋田は、受験勉強も進めながら1日2時間ほどの自主練習を続ける。休校期間を、どう感じているのか。「自分としてはチャンスだと思っています。したい、やらないといけないことができているので。他の部員からもネガティブな言葉は出てこないし、みんな前向きにとらえられています」(小俣勇貴