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 新型コロナウイルスの影響で夏の大会の開催が不透明ないま、何ができるのか。愛知県内の公立5校の野球部員たちが、インターネット上で会議を開き、考えている。

 「夏の大会は特別。厳しい状況は分かっているけれど、あきらめきれない。行動を起こそう」

 今月10日。知多翔洋、岩津、富田、豊野、緑の5校の主将やマネジャーら7人が、テレビ会議システム「Zoom」を使って、1時間半、話し合った。

 「社会を明るく元気にしたい。あきらめないで練習していることを伝えたい」

 「野球を通じて会議ができて、仲間と出会えた。野球を使って発信したい」

 監督は口を挟まず、見守った。

 きっかけは、4月上旬。知多翔洋の伊藤仁監督が、休校で練習できない部員たちにスマホのアプリ上で提案した。「高校生だけで意見交換して、思いを発信してはどうか」。部員からは「高校野球は、プレーだけじゃない」「今できることをやろう」と声が上がった。全員が賛成した。

 合同練習や練習試合で交流のあった4校に声をかけた。無料通信アプリ「LINE」で情報交換し、今月3日、ZOOMで最初の会議を開いた。会議で司会を務める知多翔洋の主務、余語直樹(3年)は、「苦しい気持ちは自分たちだけじゃなかった。一緒に頑張りたいと思った」と話す。

 緑は、5校の中で唯一の軟式野球部。谷藤優太・副主将は、「ボールは違うけれど、同じ高校生の意見は刺激になる。軟式野球を知ってもらう機会にもなる」と言う。会議を見学した緑の水谷信也監督は、「どの意見も、大人の発想では出てこないものばかり。勉強させられた」と驚いた。

 5校は学校の再開後、各校で動画を撮影し、メッセージを配信することを決めた。今の気持ちや野球への思いを込め、各校の動画をキャッチボールでつなぐ。スローガンは「あきらめず、つなぐ夏」など3案に絞られた。

 豊野の松井優監督は、「大人の意見を待つのではなく、選手たちが考えて、意見を言える機会を持たせたかった」と話す。以前から、各校の活動を発表するプレゼン大会を開きたいと考えていた。「将来、これ以上の大変なこともある。自分で考える主体性をつけ、意見を言える人になってほしい」と願う。5校を中心に今秋、プレゼン大会を開くつもりだ。

 知多翔洋の伊藤監督は「高校野球は、大会がすべてではない。大会がなかったとしても、野球部の活動をやり抜いてほしい」と話す。豊野高校の学生コーチ、岡田竜生(3年)は、「もし大会がなかったら、実力を示すことはできないけれど、最後まで部活動に打ち込んで、後輩にいい姿を見せたい」と誓う。(木村健一)