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 東京都で生活保護を受けて施設に入ろうとすると、その多くが都外に送り出される。11年前、群馬県渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」で入居者10人が亡くなった火災で明らかになった実態は、今もまったく変わっていない。独居、貧困の高齢者は、この国の首都に増え続け、「現代のうば捨て山」とすら言われた措置は今後も続く見込みだ。

 東京都内では、身寄りがなく、生活保護を受けて暮らす高齢者向け施設の絶対数が足りない。その受け皿になっているのは、ほとんどが関東近県にある施設だ。6年前の調査では、高齢者施設に住む生活保護受給者の7割超が都外の施設で暮らしており、現在でも同様だとみられている。

拡大する写真・図版自室で過ごすコウイチさん=2020年1月、群馬県太田市

 都内の病院に入院していたコウイチさん(74)は昨年8月、墨田区役所の紹介で、群馬県太田市の郊外にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に移り住んだ。その理由をこう語った。

 「東京は家賃が高いからほかのところで探す、と言われて」

 「東京から近い」という話だったが、これまで訪れたこともなく、不安がないわけではなかった。「『寒いところだよ』と言われたけど、生きていかないといけないし、死ぬほどの寒さじゃないだろうと。雨風がしのげれば、何とかなるだろうと観念するしかなかった」

 福島県に生まれ、高校を中退して神奈川県の料理店で修業した。その後独立し、千葉県境に近い東京・小岩ですし店やカレー店、喫茶店、ピンサロなどを営んだが、バブルがはじけると経営が悪化した。

高齢者の貧困が深刻化しています。後半では、生活保護受給者の特養ホーム入所の実態を探ります。

 店をたたんでスーパーに勤め、65歳まで働いた。退職金はわずか7万円で貯金はなく、墨田区役所に駆け込んで生活保護を申請した。しばらくアパート暮らしをしていたが、自転車で転倒事故を起こして入院、手術した。足が不自由となって一人暮らしは難しく、介護が必要と墨田区が判断し、現在のサ高住を紹介された。

 若い頃に結婚した女性との間に…

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