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 街の風景や人びとの思いを、きりっとした文章でつづってきた作家の石田千さん(51)。若いころ、文章を書く仕事は向いていないのではないか、と迷った時期があったそうです。そんなとき背中を押してくれたのは、のちに「不良隠居」を名乗るエッセイスト。酒場で聞いた助言は、デビュー20年目となる今も胸に刻まれています。

拡大する写真・図版かつて資料探しに奔走した神保町の路地で。今も街の古書店主は頼りになる知恵袋だ=東京都千代田区、池永牧子撮影

 東京・北千住の「開かずの踏切」で、電車を見送っていた。踏切から荒川へ満開の桜並木が続く。「あ、きれいだな。こういう感じを書けばいいのかも」。2001年の春の夜、見慣れた風景にピントが合った。

 そのころ、作家嵐山光三郎さん(78)の助手をしながら、古書街で知られる神保町の出版社で編集をしていた。自分は裏方向きと思っていたら、嵐山さんからノートを渡され、「日記を書いてみたら。うちにはいろんな面白い人が来るんだから」。でも、どうもうまく書けない。向いていないのだろうか。

夕方出社してくる不思議な上司

 「文章ってどう書けばいいんでしょう」。出版社の上司でありエッセイストの坂崎重盛さん(77)にふと尋ねた。

 買い込んだ浮世絵や古書、楽器…

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