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 全国すべての人に一律10万円を配る「特別定額給付金」のオンライン申請をめぐり、窓口となる市区町村で混乱が起きている。想定していなかった膨大な確認作業に職員が追われているためだ。政府は郵送よりオンラインでの申請を推奨するが、自治体トップからは「郵送申請よりかえって手間がかかり、本末転倒だ」との声も上がる。

「内容に誤り多い」

 オンライン申請は、内閣府が運営する「マイナポータル」サイト内にある給付金用の申請ページを通じて、自分が暮らす自治体に世帯ごとに申し込む仕組みだ。申請の際には世帯主の本人確認のためにマイナンバーカードが必要で、世帯主以外の家族の名前は申請者が直接入力する。

 東京都内で最多の約92万人が住む世田谷区では、2日にオンライン申請を始めた。申し込みは殺到し、11日現在で申請は2万4千件に達している。

 「申請内容に誤りが多い」。受け付けを始めてまもなく、給付を担当する区職員の間でそんな声が出始めた。

 マイナポータルでの申請データを確認すると、1人で複数回申請したり、家族の情報を誤って入力していたりしても、受け付けられてしまうことが分かった。そのまま給付すると過払いになりかねない。

 対象者に正しく支給するには、世帯情報をまとめる住民基本台帳ネットワークの情報と申請時に入力された情報との照合が必要だ。世帯情報は自治体だけが持っているため、申請内容が正しいかどうか、職員が1件ずつ確認している。区は担当する職員を急きょ増やして対応する計画だが、郵送申請以上に時間と手間がかかり、郵送よりも給付が遅れる恐れもあるという。

 保坂展人区長は「人海戦術による突合(とつごう)(照合)で苦慮している。電子申請のほうが郵送申請の処理より何倍も手間がかかるという本末転倒の状態。自治体の現場をまったく踏まえない仕組みだ」と嘆く。

 人口約74万人の大田区でも同様だ。

 給付金は世帯ごとに世帯主が申請するルールだが、別世帯の祖父母の分まで合わせて申し込む間違いなどが目立つという。手続き完了を知らせるメールが、「迷惑メール」に分類されて申請者が気付かず、区に問い合わせるといった別のトラブルも続き、職員が対応に忙殺されている。

 東京・多摩地区のある自治体には、住民から「国は『一刻も早く支給する』と言っているのに、対応が遅い」という非難の声が届いた。担当者は「オンライン申請が増えるほど確認作業が増えて支給が遅れる。非効率な仕組みを押しつけられ、自治体の問題にされているのが悔しい」とこぼす。

同じ人が繰り返し申請可

 なぜこうした事態が起きているのか。

 郵送による申請では、自治体が…

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