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 東日本大震災以降、東京などの飲食店の支援を受けてきた東北の漁師や農家らが、新型コロナウイルスの影響に苦しむ飲食店を今度は自分たちが応援しようと、支援キャンペーンに協力している。東北の生産者と飲食店をつないできた団体が、各店で使える先払いチケットを売り、その購入者に抽選で当たる東北の産品を生産者が提供する。今月末まで実施している。

拡大する写真・図版「新橋 炉ばたや」でお通しとして出している、下苧坪之典さんから仕入れたキタムラサキウニ(東の食の会提供)

 キャンペーンは、キユーピーやキリンビールなどでつくり、東北の漁師や農家の復興支援に取り組んでいる一般社団法人「東の食の会」(東京都)が企画した。緊急事態宣言を受けて休業や営業時間の短縮をしている東京都内などの飲食店6グループの計11店が参加。「東北から『ありがとう』キャンペーン」として、3500円分の飲食ができるチケットを、インターネット上で3900円で販売する。実費を除く390円は店に寄付する。

 チケットは営業再開後など後から使うことができるが、店側にとってはチケットが売れた段階ですぐに売り上げを入金してもらうこともできる。

 チケットの購入者には、岩手、宮城、福島各県の食材や加工品など20種類以上の「東の食の豪華詰め合わせ」と、参加する6グループの店でそれぞれ1回ずつ3900円分の飲食に使える「超サンキューチケット」のセットが抽選で1人に当たる。

拡大する写真・図版JR新橋駅前で1980年から営業する「新橋 炉ばたや」(東の食の会提供)

 参加店の一つで、JR新橋駅前で1980年から営業する「新橋 炉ばたや」は、3月28日から2カ月近く休業している。収入は途絶えたが、家賃や人件費で月200万円の固定費がのしかかる。

 例年この時期は、岩手から取り寄せた殻付きの生ウニが自慢の品の一つだった。店主の堀川隆暢(たかのぶ)さん(57)が震災の翌年、岩手県洋野町で海産物問屋「ひろの屋」を営む下苧坪之典(したうつぼゆきのり)さん(39)と東の食の会を通じて知り合い、復興支援の願いも込めてここ数年は5月ごろになるとキタムラサキウニを仕入れ、お通しにしていた。

 とろけるような味わいの新鮮なウニを楽しみにする常連客も多く、堀川さんは「営業再開まで、どうにか持ちこたえたい」と話す。

拡大する写真・図版「新橋 炉ばたや」の堀川隆暢(たかのぶ)さん。白子やあん肝、タラ、カキがこんもり盛られた「痛風鍋」は冬の名物だ(東の食の会提供)

 下苧坪さんは、抽選で当たる詰め合わせに殻付きウニを提供する。震災では津波で漁師の船が流され、流通も止まって商品の出荷もままならず、仕入れ先だった飲食店が離れることもあった。

 そうした中、仕入れ続けてくれた堀川さんの存在は励みになったという。「震災で危機的な状況にあった時に真っ先に立ち上がってくれた店のために、やれることはやりたい」

 チケットは5月31日まで、専用サイト(https://eatenergize.official.ec/別ウインドウで開きます)で販売する。問い合わせは東の食の会(070・2151・0353)へ。(伊藤舞虹)