「お母ちゃんの花」に語りかけ28年 花言葉で知った愛

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若松真平
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 庭で野ざらしになっていた鉢植えのギボウシ。3月に入って新芽がついているのを見つけて、思わずこう呼びかけた。

 「お母ちゃん、今年も会えましたね」

 岐阜市に住む主婦・安城明枝さん(80)がこの鉢植えを譲り受けたのは28年前。81歳で母・桐山順子さんが亡くなった時のことだ。

 特段思い入れがあった花ではなく、庭に植えられていたものを何となく掘り起こして自宅で育てることにした。母がどんな思いで、いつから育てていたのかも知らない。

 「行ってきます」「今日もみんな元気ですよ」。晩夏に枯れるまで、母との対話は続く。

 夏が終われば庭でほったらかしにしていても、翌春になれば新芽をつける。肥料を与えずとも、わずかな日差しと水だけで育つ。

 その姿は、不平不満も言わず、ぜいたくもせず、ひたすら働いて6人の子を育てた母の姿に重なる。

60歳を過ぎて自転車の乗り方を覚え、70歳になるまで道路工事の現場もこなした母。かつての暮らしや思い出、ギボウシの花言葉に込められた思いなどをつづっています

 明枝さんが幼かったころ、白…

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