中国で、食事を食べる前に小皿に分けたり、取り箸を使ったりする「分餐(ぶんさん)制」の普及をめざす動きが出ている。大皿を直箸でつつく食べ方が定番だが、新型コロナウイルスの流行を機に感染症を広めるリスクがあるとして注目を集めたからだ。長い伝統を持つ中国の「大皿文化」は、変わるのだろうか。(北京=高田正幸)
北京の中国料理店。市内で新型コロナウイルスへの感染者がゼロの日も出始めた4月上旬、営業を再開したばかりの店内では、2人の客に店員が箸を三つ、差し出していた。そして、こう声をかけた。
「一つは取り箸として使うように。直箸は控えて」
この店では再開した後から、全ての客に取り箸を渡すように決めた。「お客の要望があれば、取り分けてから提供する。(新型コロナウイルスの感染拡大という)非常事態を受けて始めた取り組みだが、今後も継続したい」と店員は話す。
中国では飲食店でも家庭でも、中国料理を食べる時には大皿に盛られた料理をおのおのの箸でつつき合うのが一般的だ。だが新型コロナウイルスの流行以降、この習慣が感染を広めた要因の一つではないかという考えが広まっている。中国政府の統計によれば、国内でのクラスター(感染者集団)の約8割が家庭内で発生していることも、こうした考えを後押しする一因になっている。
そこで、各地のホテルやレスト…
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朝日新聞国際報道部