往年のプロと同じだった 佐賀北・百崎敏克元監督の一冊

聞き手・隈部康弘
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一冊入魂「伝説のプロ野球選手に会いに行く」(高橋安幸著)

 この本の中にある、西鉄(現西武)のエースだった稲尾和久のエピソードを紹介しましょう。

 よく初球をボール球にして、打者のちょっとした動きから狙い球を探ったというんですが、ロッテの前身の球団にいた榎本喜八だけは全く動かない。だから分からない。打たないのかと思ってストライクを投げると、打たれたそうです。

 稲尾は引退後、自分の投球をどう読んでいたのか聞いた。すると「今度は見送ろう、今度は打とう」と、ただ決めてかかっていただけだったと言われ、ガックリしたというんですね。

 この話が印象に残ったのは、似た経験を自分もしたからです。神埼の監督時代、夏の甲子園で初球スクイズのサインを出せなかった。地方大会でやっていたので、読まれていると思い込んでしまったんです。カウントが整ってさせたら、見事に外されて。横っ跳びに当ててファウルにしてくれたからよかったですが。相手のことを考え過ぎると、いつもの自分でなくなることがあるんですね。

 ほかにも金田正一(国鉄―巨人)や中西太(西鉄)ら往年の名手たちが取り上げられています。何かを学ぼうとして手に取ったわけじゃないけど、おもしろく読みました。

 (インターネットが購入しやすい。図書館に収蔵されている場合も)(聞き手・隈部康弘)

 〈ももざき・としかつ〉 佐賀北の選手時代は主将。国学院大では野球から離れた。国語教師となって指導者の道に。2001年、神埼(佐賀)を率いて春夏連続で甲子園に出場。04年に佐賀北の監督に就任し、07年夏、全国選手権で佐賀勢2度目の優勝を果たした。64歳。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、満足に練習できない高校球児が多い。体を動かせないときは、頭を鍛えよう。指導者たちが君たちに贈る一冊。『一冊入魂』

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