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 新型コロナウイルスの影響で休校が続く中、各地でオンライン授業が広がっている。子どもたちにより良い学びを届けたいと、先生たちの試行錯誤が続く。(大西明梨)

 福井県立若狭高校(小浜市)では、4月中旬ごろからオンライン授業に取り組んでいる。5月11日からは、時間割を組んで本格的に運用。生徒は午前中に約50分の授業を3コマ受け、午後は課題などをこなす。

 「このグラフのように、水と混合物では沸点が違います」。11日には、物理、化学担当の野坂卓史教諭が動画投稿サイト「ユーチューブ」を用い、2年生向けの授業「化学基礎」で物質の仕組みを教えた。

 配信画面にはパワーポイントで作ったグラフなどのほか、野坂教諭の顔も映し出された。教諭はカーソルで説明箇所を指しつつ、一音一音はっきりと話す。生徒の顔は見えないが、チャット機能で「説明が分かりません」などの質問が飛び、やりとりが可能だ。

 進め方は先生によって様々。事前に撮影した学習動画を生徒が見た上で、疑問点などをインターネット上のアンケートに回答してもらい、登校日に配布するプリントなどで補足解説するやり方などもあるという。

 課題は多い。音楽などの実技科目はオンラインとの相性が悪く、「演奏させたいが演奏動画の鑑賞しかできない」と漏らす教員や、「クラス一斉に(英語の)暗唱ができない。やりとりにタイムラグがあるのは難点」という教員も。準備に普段の授業の倍の時間がかかったり、授業の進行速度が半分に落ちたりしたケースもあるという。

 一方、画面越しになったことで、普段の授業では引っ込み思案の生徒が気軽に発言してくれ、生徒の理解状況をより把握できるようになったとの思わぬ収穫も。野坂教諭は「オンライン授業には利点はあるが、やはり生の体験ができないなどの限界があります」。

 2年生の登校日だった12日には、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」で複数の教室をつないだオンライン学年集会が開かれた。女子生徒(16)は「学校では授業だけじゃなくて、集まりも大切だと思います。気持ちが明るくなりました」と笑顔だった。

 中村秀明教頭によると、学校が再開しても「3密」を避けるために、通常の授業とオンライン授業を併用する可能性もあるという。中村教頭は「やはり学校でしか伝えられないことがあり、オンライン授業で完全に代替はできません。しかし、この機会を前向きにとらえ、今後も試行錯誤していきます」と話していた。

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 福井県教育委員会は、小中学校向けの学習動画をケーブルテレビやインターネットなどで配信。高校は生徒によって履修内容などが異なるため、各校が独自の学習動画の作製や配信を行うこととしている。

 情報通信技術を活用した教育を研究する福井大学の岸俊行准教授(43)は、オンライン授業について、生徒は自分のペースで学べ、教員は個性に合った教育を行えるという長所を語る一方、家庭環境や端末操作の不慣れなどで教育格差が生じる可能性を指摘。「生徒がしっかりと学べているかフォローする態勢が大切。今後もオンラインと対面授業それぞれの良さを生かして、教育の幅を広げていくべきだ」と語った。