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 政府が三重県を含む39県の緊急事態宣言を解除したことを受け、感染拡大を防ぐために続けてきた「県緊急事態措置」が解除されることになった。全ての業種が通常営業できるようになり、店の経営者らからは安堵(あんど)の声が聞かれた。一方、先行きに不安を感じる人たちもいる。

 県は15日に新型コロナウイルス対策の本部員会議を開き、緊急事態措置解除後の方針を示す予定だ。

 措置は4月20日に出し、事業者の休業や県民の移動自粛を要請してきた。今月7日に緩和し、対象から外れた飲食店や博物館などが通常営業を再開。以降も三つの「密」が発生しやすいとされるパチンコ店やナイトクラブなどには、引き続き休業を求めてきた。

 措置の解除で、これらの施設を含む全業種への休業要請をやめる。営業再開に際しては、ガイドライン作成などの感染防止対策の徹底を求めるという。

 一方、県は、県境を越える移動は自粛するよう、県民に呼びかける方針だ。ただし、事業者に県外客の受け入れをやめることは求めないという。一方、潮干狩り場やゴルフ場などの屋外施設が予約を断れば、今月末までを対象に協力金を支給する。

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 「長かった――」。緊急事態宣言解除までの期間をそう振り返るのは、四日市市内に三つの店を持つ中原弘貴さん(41)だ。

 経営するのは、いずれも休業要請の対象だったライブハウス、カラオケ喫茶、それにバー。さらに「マック中原」の名前で歌手活動もしていて、イベント中止で仕事は激減した。2月中旬から相次いで休業し、収入は前年より9割減った。

 15日からバーを再開するが、夜の繁華街は人気がなく、当面は週末だけ営業するという。カラオケ喫茶は密閉度が高く、まだ再開する勇気がない。ライブハウスはイベントの開催依頼が全くない状態だ。

 「街に本当のにぎわいが戻るのはいつなのか。年を越すかもしれない」。中原さんの不安は尽きない。

 パチンコ業界は再開に向けて動き出した。

 県遊技業協同組合が県内118の全店舗に示した再開に向けた基本方針では、店内の感染防止対策を徹底し、午前10時~午後10時に営業時間を短縮。また、イベント告知を自粛するなどし、県外客を来店させない意思をホームページなどで表示するよう要請した。

 津市内のパチンコ店の男性店員(45)は「約1カ月の休業で経済的にはぎりぎりな状態だった」と話し、今回の流れを歓迎。その一方で、「再開することで感染が広がることの心配もある」と話した。

 普段は観光客らでにぎわう伊勢神宮内宮(伊勢市)前の門前町「おはらい町」は、14日もほとんどの店が休業していた。宣言が継続された大阪からの参拝者も多く、各店は再開時期を見計らっている。

 老舗飲食店「ゑびや」はこの日、畳を天日干ししていた。経営者の小田島春樹さん(34)は「人がいない状態で開けても損をしてしまう。ある程度人が戻ってきたら再開しようかな」と話した。20日に雑貨店を新規オープンする予定の平生秀彦さん(62)は「今は県外から人を呼び込めない。今後どうなっていくのか見通せない」とぼやいた。(黄澈、大滝哲彰、岡田真実)