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 埼玉県は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除が見送られた。大野元裕知事は14日、宣言解除の判断基準とされた「直近1週間の新規感染者数が人口10万人あたり0・5人未満」について、「達成が簡単な数字ではない」との認識を示した。県庁で記者団に答えた。県によると、13日までの1週間は「0・7」だったという。

 大野知事は「仮に0・5になっても警戒が必要だ。国の基準は一つの基準だが、我々は総合的に判断しなければならない」と話した。また、県を含む8都道府県で緊急事態の継続については「首都圏全体で考えたときにまだまだ(感染状況は)落ち着いている状況ではない」と述べ、政府方針に理解を示した。

 また、さいたま市の清水勇人市長も14日の記者会見で「市内は13日まで4日続けて感染者がゼロだが、市内から東京都へ19万人の通勤者がいることを踏まえると、楽観できる状況ではなく緊急事態宣言が続くことは理解できる」と述べた。(釆沢嘉高、森治文)

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 埼玉県内の感染状況や医療・検査体制はどうなっているのか。

 14日現在、中国・武漢市から帰国した4人を含めて計977人の感染者が確認され、死者は計45人。このうち退院・療養を終えた人と亡くなった人を除く241人が、入院または宿泊・自宅療養などをしている。

 県によると、中国から政府のチャーター機で帰国した人以外で、県内初の感染者が判明したのは3月5日。その後、新規感染者数は増加傾向となり、1日あたりの感染者数が判明日ベースで最多の58人となった4月15日を境に減少傾向が続いている。

 この間、県内の複数の病院や福祉施設でクラスター(感染者集団)が発生。さいたま市北区の彩の国東大宮メディカルセンターでは、医療職や患者を含む計30人が感染し、県内最大のクラスターとなった。

 4月の前半ごろには1日40人前後の感染確認が続き、患者を受け入れる病床が不足して自宅待機者は一時300人を超えた。軽症と診断され自宅待機中に容体が悪化した2人が亡くなる事態も起きた。

 感染者を受け入れる病床は今月14日現在、県内57の医療機関に602床が確保され、計171人が入院。病床の使用率は約3割となっている。このうち高度な治療が必要な重篤・重症の患者を受け入れるのは60床で、8人が入院中。呼吸困難などの症状がある中等症と軽症の患者用に542床を整え、163人が入院している。

 一方、入院の必要がないと判断された軽症者らが療養する民間ホテルなどの宿泊施設は、8施設・計1055室を確保する見通し。14日現在、約500室が受け入れ可能で32人が療養する。自宅療養も34人いる。入院調整中は4人。

 また、新型コロナウイルスのPCR検査は13日までに、行政、民間の検査を合わせて1万4266件を実施した。

 県によると、検査機器を増やすほか、保健所を通さずに検査を受けられるPCRセンターを医師会と協力して設置するなど検査態勢は強化しつつある。ただ、今後の検査数については「新規の感染者が減っており、検査対象となる人も減る可能性がある」という。(長谷川陽子、山田暢史)

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 埼玉県医師会は、新型コロナウイルスの感染を確認するための検体を採取するPCR検査センターを県内20カ所以上に開設する計画を進める。金井忠男会長(76)に狙いを聞いた。

 ――なぜPCRセンターを設けるのですか。

 「新型コロナウイルスの相談が集中する保健所の負担を軽減したい。PCRセンターに医師会の『相談センター』を併設し、医師や看護師が対応する。すでに11カ所が稼働した。20カ所設置すれば、全県で対応ができる」

 ――どうすれば利用できるのですか。

 「県民がどこで相談すればよいのかが分かりづらかった。これからは、かかりつけ医や近所の医療機関が診察して、医師が必要と認めれば医師会のPCRセンターで検体を採り、民間検査機関が検査をする。感染が強く疑われる場合には、結果が比較的早く出る保健所の検査につなぐ」

 ――検査が増えると陽性の人が増えそうですね。

 「民間検査はすでに1日300件近いが、倍以上を見込む。また、比較的軽症の人はホテル療養が利用できるが、約半分は自宅療養が希望と聞く。急変に備えて看護協会とも連携する。かかりつけ医による電話やオンラインでの診療も考えられる。医師からの一方通行ではなく、何かあった時に患者からも連絡できるようにすれば安心だ」

 ――発熱患者を避ける医療機関もあります。

 「新型コロナ患者を診察しても、短時間であれば医療用マスクをして手洗いをすれば感染リスクは低い。後戻りはできない。少しでも前に進めたい」(松浦新