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 UFO(未確認飛行物体)と取りざたされた映像を先月末、米国防総省が公開し、河野太郎防衛相は「万が一、遭遇した時の手順をしっかり定めたい」と述べた。自衛隊も対応に備えるという。未知との接触、その処し方は――。

正体不明の脅威?それとも…

 米国防総省が公開したのは、約30秒~1分15秒の白黒映像3本。2004年と15年に撮影されたものだという。不審な物体が海上を高速で飛んだり、空中で回転したりしている。数年前に流出し、「UFOか」と話題になったものだが、正体は確認できなかったという。

【動画】米国防総省が飛行物体の映像を公開

拡大する写真・図版米国防総省が公開した飛行物体(中央)の映像

 英国でも、国防省のUFO調査部門に寄せられた情報が国立公文書館で公開されている。「友人とキャンプ中に、愛犬が誘拐された」「二つのオレンジ色のボールが裏庭に浮かんでいた」といったものだ。

 中には、建物の上に浮かぶ13の物体を兵士が携帯電話で撮影した映像もあったが、近所で開かれていた結婚式の中国ランタンだったことが判明。半世紀以上続いた調査部門は09年、「いかなるUFOの情報も、英国にとって脅威ではなかった」と閉鎖された。

 日本でも情報はある。1956年、千葉県銚子市で、短冊のような銀色の金属片が空から降ってきたという。福島市では円錐(えんすい)形の山、千貫森(せんがんもり)(標高462メートル)付近で多くの目撃情報が寄せられ、「UFOの里」と呼ばれる。岐阜県高山市や東京都の明治神宮も愛好家には有名だ。

 超常現象を研究し、ユーチューバーでもある山口敏太郎さんの元には、今も毎日のように目撃談が寄せられるという。「9割が各国が作った軍用機とみられるものの、1割は正体不明で、愛好家を夢中にさせる」と話す。

 なぜひかれるのか。山口さんは「自分自身が未確認物体になりたいという願望ではないか」と分析する。「どこにいても携帯電話がつながり、何かあれば過去の写真や家族関係までインターネット上で暴かれてしまう。そんな世の中に疲れ、ミステリアスな存在になりたいと思っている。UFOをうらやむ心の叫びが聞こえる」

論文「日本のやり方に学ぶべき」

 宇宙人が乗ったUFOに遭遇したらどうするか――。米国家安全保障局が公開する68年の論文に対策法が書かれている。

 「技術力が下回るにもかかわらず、アイデンティティーを維持しながら、相手の技術力を取り入れた例がある」として、日本を挙げる。「友好的でほかの文化のすべてを学ぼうとする熱意をもち、国全体が連携する日本のやり方に学ぶべきだ」

拡大する写真・図版宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」のキャラクター「宇宙人サンダーくん」

 科学ジャーナリストで新潟経営大学特別客員教授の高野誠鮮(じょうせん)さんは「鎖国時代、出島から医学や語学を吸収したことや、第2次世界大戦後の混乱から迅速に高度成長を遂げた日本人の柔軟さが注目された」と指摘する。高野さんが関わる石川県羽咋(はくい)市の宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」は、「宇宙の出島」という意味がある。

 いま、新型コロナウイルスという未知の存在が、私たちを脅かす。だが、米中は対立し、医療従事者への差別も問題になっている。高野さんは「争っている場合ではない。互いに学び、力を合わせて立ち向かわなければ」と話す。(江戸川夏樹)

拡大する写真・図版UFOに遭遇した時の対策法