拡大する写真・図版「ハゲタカ」シリーズなどで知られる作家の真山仁さん。東日本大震災や原発などを題材に日本の課題を問いかける作品を多数生み出している。近著に「神域」「トリガー」など=山本和生撮影

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 東日本大震災後に、日本で広く蔓延(まんえん)したことがある。

 「正しさ」を振りかざす人がSNSを中心に増えた。そして、日常生活でも、自分が常に「正しい」側にいたいという願望も強くなった。

 最大のきっかけは、「絶対安全!」と言われていた原子力発電所の事故ではないかと私は考えている。いわゆる安全神話の崩壊で、国民の多くは、何が正しいのかが分からなくなった。

 やがて、権力者が国民をだまし続けた揚げ句に、原発事故を引き起こしたという考えを持つ人が増えた。

 この場合の権力者とは政治家だけではない。メディア、インテリ、官僚、大手企業の経営者らが含まれる。

 自分たちは「権力者にだまされた被害者だ」という立ち位置がいつしか「我々は正しい」という自己弁護を生み、やがて「その正しさを揺るがす者は許さない」という攻撃へ向かった。

 そして、ヒステリックなまでに、他者を糾弾することの根源として「正しさ」を振りかざす発言が続いた。

拡大する写真・図版作家の真山仁さんは元新聞記者。作品にいかすため、積極的に現場を訪れる。2019年12月には東京電力福島第一原発を訪れた。後方は左から3号機、4号機=福島県大熊町、仙波理撮影

 このムードを拡散したのが、SNSだった。中でも140字で、意見を主張するツイッターは、匿名性が高いこともあって、過激な発言も目立ち、拡散力が強かった。

 「正しさ」を振りかざす傾向は、今なお、続いているが、とはいえ国民生活にダイレクトに影響を及ぼすほどでもなく、言ってみれば「居酒屋の話題」的な存在だった。

 ところが、新型コロナウイルスの感染が深刻化するにつれ、再び「正しさ」の押しつけが始まった。

新型コロナウイルスによる自粛が続く中、市民同士の監視の目が厳しくなっています。後半で、真山さんがコロナ禍の「正しさ」について考えます。

 フォロワー数の多い一人が「若…

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