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医の手帳・新型コロナと糖尿病

 現在、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)が全国的に猛威を振るっていますが、糖尿病も無関係ではありません。重症化するリスクとして、心疾患や呼吸器疾患に加えて、糖尿病もその一つとなる可能性があると考えられています。現状では、新型コロナウイルスにかからない特別な方法はなく、手洗いを徹底するなど一般的な衛生対策に加えて、密集、密接、密閉の「三密」を避ける取り組みが引き続き重要です。

 一方で、外出自粛やリモートワークが推進され、自宅で過ごす時間が多くなり、生活習慣が劇的に変化している方もいると思います。定期的な散歩が困難だったり、ジムやプールに行けなくなったり、通勤の自粛のため1日の歩数が減った方もいるでしょう。糖尿病の患者さんでも、可能な限り運動を継続するため、人混みをさけた散歩やサイクリング、自宅での筋力トレーニングなどは効果的です。スポーツ庁がホームページで、スポーツ・運動の留意点と、運動事例について公開しています(https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop05/jsa_00010.html別ウインドウで開きます)。

 糖尿病の患者さんは、毎日の食事を規則正しく保つことが重要です。自宅生活では食事時間が不規則になり、間食や飲酒量が増えている方もいると思います。買い物が不自由で、ご飯とおかず一品の食事になったり、簡単に作れる麺類の頻度が増えたり、炭水化物が過剰になっていませんか。一方、逆に太ることを恐れて炭水化物を過剰に控える方もいるかもしれません。炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスを今までと大きく変えず、特定の品目や栄養素に偏らないバランスのとれた食事をとるように努めましょう。ご飯などの炭水化物にみそ汁などの汁物、そしてたんぱく質や食物繊維、ビタミンをとれる副菜三品という日本食の「一汁三菜」の考え方は参考になります。

 自宅にこもりがちになると、生活のリズムもつかみづらくなります。また、かかりつけ医への通院も難しくなります。今後、遠隔診療が一般化すれば有用なツールになりますが、まだ広く普及しているとはいえません。流行が続いているこの時期の糖尿病患者の自宅療養生活では、生活の記録を残すことをお薦めします。毎日の血圧、体重だけでなく、可能な方は自分で測定した血糖も記録しましょう。運動した内容や時間、食事の内容も記録してみましょう。スマートフォンのアプリや写真なども活用できます。診察の際に医師が療養生活を把握するのに役立つだけでなく、自分の生活を見直すきっかけにもなります。今後は、糖尿病患者の個別療養指導のため、栄養士による栄養相談や、看護師・保健師による指導も遠隔でできるようになることを期待します。(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎研究センター 病態栄養学講座 蒲沢秀門特任助教)

 糖尿病 インスリンの作用不足などで高血糖が続く病気。インスリンが分泌されなくなり、若年層の発症が多い1型と、生活習慣などによる2型がある。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2016年)では糖尿病の疑いがある成人は推計1千万人とされる。