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 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府は緊急事態宣言の対象地域では、オフィス勤務者の最低7割削減を求めている。在宅勤務者を増やす必要があるが、中小企業を中心に戸惑いも広がる。北海道北見市に本社があるテレワークのコンサルティング会社の田澤由利社長(57)は「できないと思わず、まず取り組んでみて」と呼びかける。田澤さんのアドバイスとは。(芳垣文子)

 田澤さんが社長を務める「テレワークマネジメント」は、企業の在宅勤務導入を支援するコンサルティング会社。2008年に立ち上げた。本社は北海道北見市だが、社員の居住地は東京、埼玉などと各地にちらばり、テレワークが基本だ。

 いま、同社が独自に開発した在宅勤務の管理ツール「エフチェアプラス」の利用者が急増しているという。3月は昨年に比べて約30倍、契約した会社の数は中小企業を中心に3倍以上に上る。無料試行サービスの利用者も、4月の政府の緊急事態宣言後に跳ね上がって、昨年4月に比べて50倍以上になった。

 田澤さんはユーチューブで在宅勤務について随時情報発信している。4月にはウェブ上で、在宅勤務を初めて導入する中小企業向けにセミナーを開催した。

 「テレワークができないと思い込んでいる人が多いと感じています。無理とは思わず、まず取り組んでみてほしい」と田澤さん。「できない」と言う中小企業にはいくつか典型的な思い込みがあると指摘する。

 「直接話ができないと仕事にならない」「自宅だと勤務の管理ができない」「社員分のパソコンを用意できない」「紙の書類がないと不便」「現場でないと仕事できない」などだ。

 「離れていても、ウェブ上で会ってみる。何はともあれ、ウェブミーティングをやってみましょう」。「Zoom」などテレビ会議システムのソフトを使い「まずは気軽に顔を見るところから始めてみてはどうか」と呼びかける。

 社員分のパソコンは、これを機会に用意することを勧めている。国は中小企業のIT(情報技術)化を推進する各種の助成金を用意しており、それらを活用するのも一つの手だという。

 紙の書類については、過去の分はさておき、「開始日からペーパーレスに取り組む」ことを心がけるとよいという。書類は大体パソコンで作成することが多いから、ファイルはパソコンの中にある。それをオンラインで保管し、共有する仕組みをつくるよう勧める。

 「現場」で参考になるのが最近のテレビ番組だ。それまでスタジオで一堂に会していた出演者たちが遠隔地から出演している事例を挙げ、「仕事の現場を変えるチャンス。できないと思わずやってほしい」と語る。

 田澤さんの会社では毎年1回、リアルで集まる飲み会をやっている。今年は4月10日の予定だったが、ウェブ会議システムのオンライン飲み会に切り替え、13人が参加した。それぞれ自分の好きな飲み物片手に、この1年での仕事を振り返った。リアルだと近い席の人との会話が中心になるが、オンラインだと全員の話をじっくりと聞けるなど「リアル飲み会とは異なる良さ」も発見した。

 田澤さんは言う。「テレワークを試して、完全ではないけれど『できる』という体験をした企業は、これから先の災害や人手不足などがあってもきっと生き残れる。今はその岐路に来ていると思います」

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 たざわ・ゆり 1962年、奈良県出身。上智大学外国語学部卒業後「シャープ」に入社、パソコンの商品企画を担当する。夫の転勤や出産などのため退社。パソコン誌などのフリーライターを経て現職。北海道教育委員会委員も務める。