在留者数は世界2位 対コロナ、現地起業の日本人が結束
5万5千人を超える日本人が暮らすタイの首都バンコクで、新型コロナウイルスの影響で経営に打撃を受けた日本食レストランを助けようと、現地で起業した日本人たちが、営業時間やデリバリー情報をまとめたサイトの運用を始めた。「日本人の支え合いで苦しい状況を乗り切りたい」と意気込んでいる。
「弁当始めました お昼11時より」「ご希望のお客様には麺を茹(ゆ)でずにお届けします」。「みんながヒーロー!!」と名付けられたページ(https://teachme.jp/88343/manuals/8316587)には、5月16日時点で42店の日本食レストランの情報を掲載。営業時間や内容変更を更新している。
発案者は、現地でレシート紙の生産会社「TS Printing」を営む西田征悟さん(41)。3月22日から持ち帰りや宅配を除く飲食店の営業が禁止されたバンコクで、取引先が苦しんでいるのを知り、レシート紙の無償配布を決断した。
さらになにかできないかと考え、飲食店の情報をまとめたサイトを思い立った。日系人材紹介会社パーソネルコンサルタントの社長で、日本人起業家の互助組織「WAOJE(ワオジェ)」の代表でもある小田原靖さん(51)に協力を仰いだ。
小田原さんは4月にサイトを立ち上げ、西田さんはサイトが表示されるQRコードが印刷されたレシート紙を飲食店に配った。口コミやSNSでサイトの存在が広まり、「参加したい」という飲食店が相次ぐ。
タイ政府は5月3日、感染防止措置をとった上での飲食店の店内営業を認めたが、客足はまだ戻っていない。自社の売り上げも大きく減った西田さんだが、「海外でいろんな苦労をした仲間だからできる連携がある」と話す。
バンコクで居酒屋「ヒナタ」を営む長谷川真也さん(44)もサイトに登録した一人だ。店内営業の禁止後に宅配を始めたが、売り上げは大きく落ちた。そんな中、連日注文してくれる客の多くは日本人だった。「感謝を伝えたい」と自らバイクで宅配し、1人ずつお礼のLINEメッセージを送る。「コロナで日本人のつながりの強さに改めて気づかされた」という。
外務省によると、バンコクは昨年10月時点で、米ロサンゼルスに次ぎ世界で2番目に日本人在留者が多い都市だ。小田原さんは「日本人コミュニティーには独自の絆がある。みんなが苦しい時だからこそ、助け合いたい」と語った。(バンコク=染田屋竜太)
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