戻らない客足「宣言解除とはいえ難しい」 温泉街の嘆き

新型コロナウイルス

平野尚紀 八百板一平 堀川敬部
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 新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく国の緊急事態宣言が福井を含む39県で解除され、初の週末となった16日。以前は、県内外から多くの観光客が訪れていた温泉街も人の姿はまばらで、福井市の夜の社交場では、先行きへの不安の声が聞かれた。

 県内を代表する観光地、あわら市の温泉街は16日も静まり返っていた。休業を続ける宿泊施設は多く、再開予定時期もばらばらだ。

 「グランディア芳泉」は6月6日の再開を目指す。休業前から消毒液や健康チェックシートを用意するなどの対策を講じてきたが、再開後はこれを強化。ロビーのカウンターを仕切るアクリル板の設置、エレベーターのボタンやボールペンの定期的な消毒などを決めている。

 休業後は日本酒「女将(おかみ)」の宅配販売をしてきたが、担当者は「例年に比べて売り上げは1割にも届かない」と話す。

 「つるや」では、引き続き都道府県境を越える移動が自粛対象で、再開してもどれだけ観光客が来るか分からないとして、6月末まで休業を続ける方針だ。

 「ぐらばあ亭」では前週に比べて予約は増えたが、例年の半分に満たないという。担当者は「宣言が解除になったとはいえ、県外客が戻ってくるのはすぐには難しい」と漏らす。

 一方、県は今月18日から休業要請を解除するが、全国各地でクラスター(感染者集団)が発生したバーやスナックなどの接客を伴う施設については、県民に対して31日まで利用を自粛するよう呼びかけている。

 「県の協力金では少なすぎる」と嘆くのは、福井市の繁華街「片町」でスナックを営む40代の女性だ。

 県の要請に従い、4月25日~5月6日の休業を申請し、20万円の協力金をもらう予定でいる。その後県は、同20日までの休業要請の延長を求めてきたが、協力金の追加などは無かった。女性は「後出しで休業を延長し、更に今回は解除を前倒しはしたものの、県民には『飲みに出るな』と言っているようなもの。矛盾している」と訴えた。

 バーの女性店主は「県外からの出張のお客さんも来るので、恐る恐る開けるというのが正直なところ」と話し、県の呼びかけには一定の理解を示した。カウンターにはアクリル板を置き、椅子の数を減らして対応するという。(平野尚紀、八百板一平、堀川敬部)

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