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 今年の台風シーズンの到来を前に、相模原市の住民が、市内の避難所の運営方法について市に具体策を提案した。避難所での新型コロナウイルス対策の必要性も訴えており、市も前向きにとらえ、住民と連携して対応していく考えだ。

 今月7日、相模原市中央区光が丘地区自治会連合会(加入約7800世帯)のメンバーが本村賢太郎市長に要望書を出した。新型コロナの影響が長期化する中で「大規模風水害や巨大地震が発生したら一体どうなるのか」と懸念。「避難所は『3密』に陥りやすく、大規模なクラスター(感染者集団)も発生しやすい」として、感染拡大を防止しながら避難所を運営するにはどうしたらいいか、市内の全避難所へ速やかに周知してほしいと求めた。

 また、地区独自の感染症対策ガイドライン案も策定し、市に提案した。避難所に多くの人が集まって感染が拡大するのを防ぐために、大地震などで自宅が倒壊したり、焼失したりした時はまず親戚・知人宅への避難や車中泊などをしてもらい、それらが不可能な際に避難所へ向かう「分散避難」を提唱。避難所では消毒と手洗いを徹底し、非接触型体温計をそろえて検温を含む体調チェックを実施する――などとしている。

 国は4月7日付で、避難所における新型コロナ対策として、分散避難や健康チェックなどの対策を取るよう、都道府県や政令指定都市などに通知した。ガイドライン案はこれに基づく。

 光が丘地区では2013年に統一した「独立防災隊」を設け、地区として防災対応に力を入れてきた。しっかりとした防災意識を根付かせようと、当初からメンバーも固定している。

 同隊連絡協議会長の堀口真さん(79)は「『3密』の回避は、従来の防災の取り組みでは対応できない」とし、「一定のマニュアル(対策ガイドライン)を作り、住民と共有することが大事と考えた」。また、地区の自治会連合会長の割柏(わりかし)秀規さん(58)は「市が動いてくれないと進まないこともある。市と調整しながら、市内で防災意識が高まればうれしい」と話す。

 市側もこうした住民の動きを前向きに捉えている。

 市内には、計105カ所の避難所と計20カ所の風水害時避難場所がある。市は、すべての避難所に段ボール製の間仕切りを置き、仕切られたそれぞれの「部屋」の入り口に感染予防のためのカーテンをつける方針で、開会中の市議会臨時会に関連費用(約350万円)を含む補正予算案を提出した。

 市内の指定避難所は小中学校が多く、避難者は体育館での生活が中心となる。市は、そうした状況では「3密」になる可能性が高いとして、避難者には、健康状態を申告する「チェックシート」に記入してもらい、体調不良者がいれば症状に応じて教室に連れて行ったり、軽症者の療養用に設けられた南区の旧北里大学東病院看護師寮に搬送したりすることを検討中だ。こうした対応のなかには、光が丘地区の提案を踏まえたものもある。

 また、自宅療養を続ける感染者には、どこの避難場所がふさわしいかを案内するダイレクトメールを送り、不安を生じさせないようにするという。

 市緊急対策課は「昨年10月の台風19号の被害から間もない中で新型コロナの影響が広がり、市民の意識は引き続き高いと感じる。今後も避難所の数を増やしつつ、住民との連携で災害対応を進めていけたら」としている。(岩堀滋