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 日本画家・平山郁夫(1930~2009)がふるさと広島を描いた作品の企画展が16日、山梨県北杜市の平山郁夫シルクロード美術館で約1カ月半ぶりに再開した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で休止していた。17日も開館し、18~22日は休館するが、23日からは通常に戻る予定。

 生誕90周年にちなみ、瀬戸内海に浮かぶ生誕地の生口島(いくちじま)や宮島、しまなみ海道などを描いた約50点を展示している。

 「太陽の光が瀬戸内海に金粉をぶち撒(ま)いたように輝く……平和でのどかな内海の眺めに、子供心に美しい風景だと、しばし時を忘れて眺めていた」

 平山は生口島から見た風景をこう書き残す。

 まさにその風景を描いた「燦(さん)・瀬戸内(輝く瀬戸内海)」が初めて公開されている。68歳の時の作品だ。自宅の裏山からの風景を、光あふれる黄色を基調に描いた。「親切な思いやりのある心の持ち主が多い、と来訪者から聞かされると、私はそれを故郷の誇りに思っている」とも書き残した。28歳の時の作品「漁夫」は素朴なモデルの人柄がにじむ。

 水彩の「素描・道遥(はる)かシリーズ」は著書の挿絵を集めた。急斜面を背にした家々や浮かぶ漁船、海辺に軒を連ねる町並みなど生口島の風景を描く。「青い水、緑の山々という潤いのある色使いは、平山が日本の風景を描くときの特徴」と大塚裕一学芸室長は話す。

 世界文化遺産の宮島と厳島神社は、平山が好んだモチーフ。「光耀厳島」の大下図は、水に浮かぶ社殿などの赤と、海の青や森の緑との対比が目をひく。瀬戸内しまなみ海道を描いたシリーズは、尾道大橋や伯方大橋などの作品を本州から四国への順に並べて展示している。

 シルクロード美術館は4月4日から休館。5月5日に発表された県の休業要請緩和対象に、博物館などの施設が含まれたことから再開を決めた。消毒の徹底やビニールカーテンの設置のほか、展示ケースやいすの移動などで、密にならない空間づくりに努める。

 「再開はうれしいが、医療や教育、経済は大変な状況が続いている。そちらにも、政府や県には目配りしてもらいながら、一緒に頑張っていく思いでやっていきたい。今は、県外からの移動が制約されている。県内の人を中心にこういう美術館があることを知ってもらう機会になれば」と大塚学芸室長は期待する。

 今回の企画展は6月23日まで。入館料は一般1200円、高校・大学生800円、小中学生無料。問い合わせは同館(0551・32・0225)へ。(三ツ木勝巳)