川崎がオンラインで名物を実現 異例の手法で地域貢献へ
クラブ名物の「川崎フロンパーク」をオンライン上で楽しめる――。新型コロナウイルスの影響でJリーグの中断が続く中、J1川崎フロンターレが異例の地域貢献に乗り出すことになった。地元の店、スポンサー企業、サポーターらが交流し、一度に最大800人が参加できる仕掛けで、新しいビジネスモデルとしての期待もかかる。
試合がある日の等々力競技場脇で繰り広げられる「川崎フロンパーク」。川崎にちなんだイベントやアトラクション、グルメが楽しめ、大勢の人でわいわいごった返している。ところが、そんな日常の光景もしばらくお目にかかれない日々が続いている。
そこでクラブが打ち出した企画が、オンラインカンファレンスツールRemoとZoomを掛け合わせて創出した「onlineフロンパーク」。16日のテストには、地元の店やサポーターら約150人が参加した。
Remoでは、等々力競技場に見立てた8階の仮想空間を設置。フロアごとに「バックスタンド」「グッズショップ」などと分かれ、参加者は各階を自由に行き来できる。それぞれのフロアにはいくつものブースがあり、「ケンゴの部屋」「グッズ売店」といったブースが並ぶ。一つのブースには6席あり、参加者6人が一度にオンラインで会話できる。
ブースの活用例の一つは、地元のスポンサーの飲食店の出店。サポーターが交流しているかたわら、その店に出前を頼み、配達してもらうことも検討されている。
テストには、MF中村憲剛やGK安藤駿介も参加した。Zoomを使って、2人のトークショーのほか、実際の川崎市内のグッズショップの店内を紹介し、グッズ販売も実施。クラブマスコット「ふろん太」に質問するコーナーも設けられ、参加者が複数のイベントから選んで楽しめる仕組みだった。
中村は「面白かった。いろんな職種の方が対面して新しいビジネスチャンスが生まれるんじゃないか」と感想を語った。
川崎がこのイベントを企画した理由は、新型コロナウイルスの影響でリーグが中断するなか、地域やスポンサーをつなぎ、地域を活性化させたいという思いから。また、リーグが再開したとしても、無観客試合が想定され、実際の「川崎フロンパーク」の開催は難しい。それも見越し、このオンラインでの空間を設けた。
無観客試合となれば、クラブは大きな収入源も確保できない。クラブとしてはこの「onlineフロンパーク」への入場を有料化し、収益に結びつけたい考えもある。また、このイベントの成功が続くなら、要望があれば他のスポーツチームにも伝えるという。
「onlineフロンパーク」は毎週土曜、23日から本格実施する予定だ。(堤之剛)
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