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 授業の遅れを取り戻そうと、各校で広がるオンライン授業。子どもたちはどう感じているのか。

 「規則正しい生活ができるようになった」。クラーク記念国際高校(仙台市若林区)3年の馬場優希さん(17)は前向きに捉える。学校は4月9日からビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使った授業を始めた。

 寮で生活していて、それまでは起床時間も遅く、課題もためがちだった。いまは午前9時半には制服を着て、自室で待機。教科に物足りなさもないという。

 ただ、不安がある。進学を志望する専門学校の面接が6月に迫るのに、練習できたのは2月に1回だけ。「面接対策でスマホのアプリや本を見るぐらいしかできない」。18日からの分散登校で遅れを取り戻すつもりだ。

 2年の山口優生菜さん(16)も「教室なら先生に『字が違いますよ』と言えるけど、オンラインだとマイクをオンにして全員が聞いているので恥ずかしい」と笑う。「この状況でも授業を受けられる自分は恵まれている。だから、テストで赤点をとると余計にやばい」と言う。

 普段から生徒たちはタブレット端末で課題などをやりとりしているため、オンライン授業を広げやすい素地があった。授業をする教員とは別に、もう1人が生徒の質問への回答漏れがないかなどをチェックする。

 進路の悩み相談もオンラインだ。3年を受け持つ松村沙耶香先生(37)はホームルームの後に、相談の時間を設けている。「合同説明会の中止などで不安」「志望校が定まらない」といった声があり、保護者同席で話し合うこともあるという。

 4月下旬からビデオ会議システム「Google(グーグル) Meet(ミート)」で授業を再開した宮城学院中学高校(同市青葉区)。5月中旬、校内の自習室では、寮生とエストニアからの留学生の計4人が手元の端末に視線を落としていた。

 高校2年の永塘(ながども)香帆さん(16)はオンライン授業が心待ちだったという。復習中心のプリントをこなすより、「教科書を開いて新たなことを習って、前に進めるのがいい」。

 同校では、新型コロナウイルス感染の第2、第3の波を想定して、オンライン授業を1年間は続けられるよう教職員の研修をしている。ただ、端末や通信環境が必要なオンライン授業は、公立ではそれほど広がっていない。県教育委員会によると、県内の公立高校で導入済みか導入に向けて動き出しているのは、仙台一、古川、白石など10校にとどまる。

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 学校再開に向けた工夫も進んでいる。入学したばかりの児童が学校生活になじめない「小1プロブレム」の解消もその一つだ。

 仙台市立八木山小学校(同市太白区)では、休校中も学校を意識した生活をするよう求めていて、ウェブサイトに家庭学習用の時間割を載せている。

 たとえば、新1年生だと、平日午前8時50分から授業を開始。「こくご」では、「きょうかしょ」とプリントの「あいうえおひょう」を「ゆっくり、おおきなこえで2かい」といった具合。1コマ45分で、昼過ぎの4時間目まである。

 鉛筆に慣れてもらうため、線を引くプリントを渡すなど、家での課題にも工夫を凝らしたという。

 新学期のスタートが2カ月も遅れることで、県教育委員会は「これまで以上になじめない子どもが出るのでは」と警戒。今月下旬からは、地元テレビ局で1年生向けの番組を流す予定だ。文房具の使い方や交通ルール、音楽に合わせて体を動かすといった計10回のプログラム。午前と午後に分け、1回15分になる。

 学校生活が再開されても当面は、感染防止が必要だ。だが、マスクの着用が意思疎通の妨げになることもある。聴覚に障害のある子どもたちは、「あ」「い」「う」などの言葉を発するときの口の形から情報を得ている。

 マスクで口元を隠していては、子どもたちが不安になる――。宮城県立聴覚支援学校(同)の高等部で美術を教える伊藤朝子先生(46)はそう考え、機械加工などの実習助手を務める板垣昌悦(しょうえつ)さん(56)に相談。配線用ケーブルやラミネートフィルムなどを加工して、飛沫(ひまつ)を防ぐフェースシールドを作り上げた。耳にかけると補聴器の邪魔になるので、頭からかぶって肩に掛ける形状だ。教職員や中学部以上の生徒約50人分を用意し、小学部の児童には軽量のものを考えている。

 伊藤先生は開校が待ち遠しい。「早く生徒たちに会って、『先生、マスクしてないじゃん』ってびっくりさせたい」(志村英司、川野由起、窪小谷菜月)