4月3日のことだった。テレビ画面で、シンガポールのリー・シェンロン首相が演説していた。「全家庭に、再利用できるマスクを配布します」。外出時のマスク着用を勧め、ひとり1枚の「布マスク」を配るという発表だった。
赴任のためシンガポールに入国し、14日間の隔離で滞在していたホテルでテレビを見ていた私は、思わず腰を浮かした。「症状がなければマスクはいらない」という対応からの、突然の方針転換だったからだ。しかも布マスク。日本ではその2日前に1世帯あたり2枚の布マスクの配布が発表され、賛否両論を巻き起こしていた。
マスクをめぐる反応は
マスク配布の現場で、ふたりの子どもを持つという主婦(39)は同僚の取材に「医療用マスクは手に入りにくくなっていたから、ありがたい。これでしばらくは大丈夫」と話した。私の電話取材に応じた30代の男性は「マスクは家にまだあるし、自分が布マスクをするかと言えば、しないと思う。でも困っているひとは助かるのでは」と言った。
否定的な意見はほとんど聞け…
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