元特捜検事ら38人も意見書 法改正は「将来に禍根」
政府の判断で検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案について、政界捜査も担う東京地検特捜部での勤務経験がある検察OBらの有志38人が18日、法改正の再考を求める意見書を法務省に提出した。
意見書は「元特捜検事有志」の連名。熊崎勝彦、井内顕策、大鶴基成氏ら歴代特捜部長らも名を連ねた。法改正が「将来に禍根を残しかねない」として、意見をまとめたという。元検事総長の松尾邦弘氏らも15日、法改正に反対する意見書を同省に提出している。
意見書では、検察幹部の任命権が内閣にある一方で、政府が検察の人事案を尊重してきた慣習などによって、検察の「独立性・政治的中立性が確保されてきた」と指摘。法改正により、任命時だけでなく、退任時にまで政府が検察人事に関与することが可能になることから、「民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保のバランスを大きく変動させかねない」とし、「検察権行使に政治的な影響が及ぶことを強く懸念する」としている。
その上で、事件捜査にあたり、幹部の定年延長の必要性が「顕在化した例は一度もない」とし、性急な法改正の再考を求めた。国民から批判も相次いでいるなかでの法改正は「検察に対する国民の信頼をも損ないかねない」とも指摘している。
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