拡大する写真・図版相談役をつとめる建設会社の従業員たちと記念撮影に応じる鳥井一平さん。外国人労働者を仕事と生活の両面から細かく支援している=相模原市、鬼室黎撮影

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 外国人労働者の支援活動に携わること30年。「移住者と連帯する全国ネットワーク」代表理事の鳥井一平さん(66)は、現場に足を運び、当事者の声に耳を傾けてきました。長年活動を続ける、その原動力を聞くと、「人と触れあっていくことの楽しさ」と答えます。

「まさに奴隷労働」

 解雇、賃金未払い、労災隠し……。自ら運転して現場へ向かう。いつもSOSは待ったなしだ。1カ月の走行距離が5千キロに及ぶことも。これまで4千人以上を支援してきた。

 厚生労働省のデータでは、2019年に事業主から届け出があった外国人労働者は約166万人。政府は「移民政策をとらない」と繰り返すが、日本はすでに移民社会なのだ。「現実から目をそらした政策が外国人労働者を使い捨てにする実態を生んでいる」

 人権侵害が後をたたないとされる技能実習制度について、早くから問題点を指摘してきた。「時給300円で月400時間労働」などの過酷な事例を明らかにし、国会でも参考人として意見をのべてきた。「まさに奴隷労働。一分一秒でも早くやめるべき」

 外国人の権利と生活を支援するNPO結成に参加し、今は代表理事として法制度の確立などに取り組む。

拡大する写真・図版職場では毎朝、自らコーヒーを入れる。豆も入れ方もこだわる。家庭では、弁当作りなども担当してきた=相模原市、鬼室黎撮影

記事の後半では、高校時代のエピソードや活動の経緯についてのインタビューもお読み頂けます。

町工場で大けが、職場環境を改善

 大阪・豊中の団地っ子だった。学生運動のうねりの中、高校時代は討論会で活躍。家業が経営破綻(はたん)し、高校3年から働き始めた。神戸大学の夜間部では自治会活動に没頭した。24歳で上京し町工場で働くが、勤務中に左手中指切断の大けがをする。個人で加入できる全統一労働組合に入って会社と交渉、職場の環境を改善させた。組合の重要性を実感し、労組の専従職員に。

 外国人労働者問題に本格的に取り組むのは1991年から。勤務中に指3本を切断して、組合に相談に来たバングラデシュ人の青年ラナと病院に行くと、包帯姿の外国人だらけ。「大変なことが起きている」。93年時点のオーバーステイの外国人は約30万人。バブル期の日本社会を底で支えていた。

 ラナらとともに外国人労働者の組合分会を結成し、93年、「外国人春闘」を開く。日本の労働運動は外国人労働者を見てこなかったが、彼らの問題は自分たちの問題だと考えた。

 40歳で、また大事件が起きた。

 賃金未払いの差し押さえに立ち…

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