ソフトボールの女子日本リーグ1部に所属する戸田中央総合病院メディックス(埼玉県戸田市)の選手たちが、新型コロナウイルスの影響で医療現場で不足している個人防護具の作製を手伝った。普段は職場の人たちから、応援される立場。その恩返しの意味も込めた。
緊急事態宣言が出された4月の中旬以降、部は全体練習がなくなり「1日勤務」の日が続いた。期間中、人事部に勤める高原侑里主将(26)のもとに、要請が届いた。医療用のガウンやエプロンといった防護服を、大量購入した市販のビニールで代用する作業の依頼だった。
高原は迷わず「力になれるなら、やります」と協力を決めた。寸法を測り、それに合わせてハサミで切る。長いときで、1日に5時間。単調な作業だが「集中すれば、より多く作ることができる。楽しかったです」。初めは選手個々で手伝っていたが、5月の大型連休になるとソフトボール部全体で関わるようになった。
医療従事者であり、スポーツ選手。双方の立場を知る高原は改めて「職場の方々に支えてもらって、自分たちはソフトボールができている」と感じたという。リーグは3月下旬に予定されていた開幕が、9月に延期された。そのときも、職場の同僚から優しく声をかけてもらったことが、励みになったという。
現在は午前中に仕事、午後に「3密」を避ける形で自主練習をしている。「1日勤務」の間も、週に1度はチームでミーティングを開き、「練習ができなくて苦しいけど、その分、たくさん頭を使ってソフトボールを勉強しよう」と確認し合った。「普段から意識しているチーム力で、精神的にきついときも乗り越えていきたい。今回の期間が『あってよかった』と思えるように」(井上翔太)
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