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 経営に苦しむ飲食店がある。アルバイトができず食事に困る学生がいる。何とかしようと、富山の若い経営者が知恵を絞った。第三者による支援金とSNSを組み合わせ、助け合いと感謝で成り立つ、新たな仕組みを作り出した。

 5月初めの昼時。富山大学(富山市五福)の目の前にある店舗に学生がやって来て、弁当を受け取っていた。この日のメニューは、ボリューム満点の日替わりと中華。200円と格安だ。弁当を手にした同大2年の男子学生は「バイトに入れないのでお金を浮かそうと思って。スーパーにも行きづらいので助かります」と感謝した。

 販売しているのは、「Labore(ラボレ)」。この春に同大を卒業した中西祐樹さん(22)と、4年の永平章太さん(22)が昨年8月に設立した会社だ。市内でゲストハウスを運営したり、LINEを使った学生向けのアルバイトマッチングサービス「キトクル」を手がけたりしている。

 そんなラボレが、「キトクル・デリバリー」と名付けて弁当販売を始めたのは4月中旬から。きっかけは、中西さんたちがキトクルの営業で飲食店を回ったこと。新型コロナウイルスの影響で「売り上げが8、9割減った」「アルバイトを雇う余裕がない」といった声が相次いだ。同時に、飲食店でバイトしている学生からも、収入がなくなり、カップラーメンやコンビニ弁当に頼っていると聞いた。

 窮状を見て見ぬふりはできなかった2人。困っている学生に、飲食店のテイクアウトメニューを届けようと考えた。問題は値段だ。「学生には1食500円でも高い。でも、会社からお金を出すには限界がある」と中西さん。思いついたのが支援金だ。

 定食屋や居酒屋に500円で弁当を作ってもらい、200~300円で学生に提供する。差額に第三者からの支援金を充てる。さらに、支援者の名前を弁当のパッケージに入れる。学生らに弁当を渡す際に支援のおかげで安くなっていると伝え、弁当の写真と一緒に感謝の気持ちをツイッターに投稿するよう頼む。「支援して良かった」と思ってもらうための仕掛けだ。

 「飲食店と学生を救いたい!」。フェイスブックや知り合いの経営者を通じて呼びかけると、賛同者が次々と現れた。

 富山市で映像製作などの会社を経営する金尾光高さん(53)もその1人。「自分も学生時代はバイトで食いつないだ。収入がないつらさはよく分かる。県外から来た学生さんは不安な部分も多いと思う。若い人の力になれる機会はなかなかない。僕らでも役に立てることがあれば協力したい」。これまで個人や企業から100万円近い支援が集まり、富山市内の四つの定食屋や居酒屋の協力を得て学生ら約300人に弁当を提供した。

 中西さんは「みなさんつらい状況にあるのに支援してくれた。富山の温かさを感じた」。永平さんも「利用した学生の親御さんも協力してくれ、支援の輪の広がりを実感できた」と話す。2人は、飲食店ににぎわいが戻るまでにはもう少し時間がかかるとみている。「大変な時だからこそ、人のつながりを大事にして100日は続けたい」と、支援の輪をもっと広げたいと考えている。

 支援金は、個人1口1万円、企業1口5万円から。詳細はラボレのホームページ(https://www.labore.jp/別ウインドウで開きます)。QRコードからもアクセスできる。弁当の予約にはキトクルへの登録が必要。(竹田和博)