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 政府・与党は18日、検察庁法改正案について今国会での成立を断念することを決めた。幹部ポストを退く「役職定年」の年齢を過ぎても、政府の判断で検察幹部にとどまれる規定の新設が、ツイッター上などで強く批判されていた。ただ、次期国会で同法改正案の成立をめざす姿勢は崩していない。

 新型コロナウイルス対応の給付金など、世論の批判の広がりを受けて政府が方針転換する例が続いている。安倍政権の基盤が揺らいでいるとの見方が与党内からも出ている。

 安倍晋三首相は同日午後、自民党の二階俊博幹事長を首相官邸に呼び、改正案の成立見送りについて協議した。首相の意向を受けて自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長が急きょ会合し、今国会の成立をあきらめ、継続審議で次期国会に送ることを決めた。抱き合わせで国会に提出した法案も合わせて継続審議とする。

 18日夜、首相官邸で記者団の取材に応じた首相は「国民の理解なくして前に進むことはできない。批判にしっかりと応えていくことが大切だ。これからも責任を果たしていきたい」と述べた。15日夜の時点では「政策の中身、ファクトではなく一時的にイメージが広がるが、時間がたてば『事実と違ったな』と理解頂ける」と述べ、改正案の成立に意欲を示していた。だが、朝日新聞社が16、17日に行った緊急の全国世論調査(電話)では、改正案への「反対」が64%と、「賛成」の15%を大きく上回り、内閣支持率は41%から33%へと急落した。高まる批判を前に首相は断念に追い込まれた。

 首相は新型コロナウイルス対応のための2次補正予算案を27日にもまとめ、今国会で成立させる意向だ。同法改正案で強行採決などに踏み切ることになれば、予算案の審議に影響が出るとも判断した。自民党幹部は「新型コロナのさなかに国論を二分するのは良くない」と話した。

 検察庁法改正案は、現在63歳の検察官の定年(検事総長は65歳)を段階的に65歳に引き上げ、併せて役職の定年を導入することが柱。内閣や法相が必要とすれば、検事総長や次長検事らが最長3年とどまれる特例があり、政権の都合のよい幹部だけを残す恣意(しい)的な運用ができる恐れがあると指摘されていた。政府は既に、国家公務員法の解釈変更で東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年延長を決めており、黒川氏の件を「後付け」で正当化する改正案だとの批判も浴びていた。

 大型連休明けに国会で本格的な議論が始まった後、ツイッター上で、俳優や歌手ら著名人からも「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が相次いだほか、元検事総長ら検察OBも反対する意見書を法務省に出していた。

 政府・与党の方針転換を受け、立憲民主党などの野党側は15日に提出した武田良太・国家公務員制度担当相の不信任決議案の取り下げを決めた。

 ただ、政府は「必要、そして重要な法案」(菅義偉官房長官)との認識は変えていない。次期国会でも法案の修正や撤回はせず、役職定年の特例を適用する基準をわかりやすく示すことで国民の理解を得たいとするが、野党側は今後も特例削除などを求める方針だ。立憲の枝野幸男代表は「恣意的な役職定年の延長ができる仕組みは、切り離してやめさせるという最終ゴールに向けて、さらに頑張っていきたい」と語った。(楢崎貴司)

■知りたいこと答えぬ首相、国民…

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