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 新型コロナウイルスに入所者、職員ら87人が感染し、死者計15人が出ている札幌市北区の介護老人保健施設「茨戸(ばらと)アカシアハイツ」。これ以上の感染を食い止めようと札幌市は16日、現地対策本部を立ち上げた。施設内での感染者の隔離や、介護スタッフの確保に苦慮しながら対応を続けている。

 現地対策本部は16日、同施設と1階でつながる「茨戸デイケアセンター」(休止中)に設けられた。

 本部長は市保健福祉局監査指導室の茶谷隆司室長で、厚生労働省の新型コロナ対策本部の医師と看護師各2人が補佐する。①入所者らの情報管理②感染管理③診療・介護の3部門に分かれ、市職員、市保健所の医師や保健師ら、施設を運営する社会福祉法人札幌恵友会の十数人からなる体制だ。

 同施設では5月1日から、入所者のうち陽性の人は2階、陰性の人は1階に分けた。介護・看護職員が防護服を着脱する「中間スペース」も設ける。ところが、15、16日に職員4人、17日には入所者2人の感染が確認された。運営法人によると、18日には新たに入所者1人が入院先で死亡。感染拡大に歯止めがかかっていない。

 運営法人によると18日現在、施設に残る入所者は59人で、このうち30人がPCR検査で陽性となっている。当初、入院先の調整に手間取っていたが、18日までに計約20人の入院にこぎ着けた。

 こうしたなか、隔離を徹底させるため、陰性の人を法人内の別の施設に移す検討も始まっている。主な対象は、感染判明後に療養を経て2度の陰性が確認された人で、感染リスクが低いとの判断からだ。

 最初から陰性が継続している人についても、陽性に転じる可能性があるため、健康観察を続けてきた。隔離の開始から2週間以上が経過し、こうした入所者も対象に加えることを検討している。ただ、受け入れ側の調整に時間がかかっており、日程などは決まっていない。

 現地対策本部では、介護従事者の確保も担う。感染者87人のうち21人が介護・看護職員が占める。通常であれば介護職員、看護師30人程度が必要だが18日現在は24人と、足りない状況が続く。

 市高齢福祉課は、道老人保健施設協議会など複数の関係団体に支援を文書で要請する準備を進める。口頭では頼んでいるが、感染リスクに備えた保険などの確認が必要なため、正式な要請に時間がかかっているという。

 札幌市の山口亮・感染症担当部長は「現地対策本部をもっと早く設置すべきだったとの指摘については、その通りと受け止めている」としつつ、「入所者の様子がすぐに把握できるようになり、関係機関ともその場で迅速に連携できている」と話す。(芳垣文子、原田達矢)

茨戸アカシアハイツをめぐる新型コロナウイルスの感染拡大

4月21日 隣接するデイケアセンターで1人の感染確認

  26日 茨戸アカシアハイツで入所者1人の感染確認

  28日 札幌市が施設をクラスター(感染者集団)と認定

  30日 施設内で入所者2人が死亡

5月1日 札幌市が施設の感染者の隔離を開始

  3日 感染者が50人超に

  12日 施設にいた陽性者1人が初めて入院

  16日 札幌市が現地対策本部を設置

  18日 感染者が87人、死者15人に