茨城)買ったばかりのお米、フードバンクに寄付
「タイガーマスクみたいですよね」
4月下旬、コープひたちなか店(茨城県ひたちなか市)の店員、坂場美香さん(43)は、女性客が買ったばかりの5キロの米袋を店内の「きずなBOX」に入れているのを見て驚いた。
同店内にある「きずなBOX」は、生活に困っている人に、誰でも気軽に食品を寄付できる。2015年からNPO法人フードバンク茨城が設置を始め、県内122カ所(先月12日時点)にある。
寄付された食品は、自治体などを通じて、施設で暮らす子どもたちや高齢者、経済的に苦境にある家庭に届けられる。
カップ麺や缶詰、菓子、調味料など。家庭で余った食品や、お歳暮・お中元の頂き物を、少しでも困っている人の役に立てばとせっせと届けてくれる人は多い。
約4年前から同店に勤務する坂場さんによると、「買ったばかりの商品を寄付する人は初めて見た」という。
数日後にきずなBOXを確認すると、同店で会計済みの商品に貼られるシールのついた米がさらに2袋増えていたという。
この話を聞いた、フードバンク茨城の田中健一理事(63)は、「コロナ禍でも、困っている人を助けようと考えている方がいる。その気持ちがとてもうれしいし、ありがたいですね」と話した。
茨城県などでは緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常を取り戻し始めた。だが、今後は厳しい経済危機が予想される。親の雇用が不安定になり、今日あすの食費に困る家庭も増えていくだろう。
心に少しでもゆとりが戻った人は、こんな「虎のマスク」ならすぐにつけられるのかもしれない。(大谷百合絵)
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