ソフトバンクG、投資ファンド裏目 携帯事業吹き飛ばす

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井上亮
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 携帯電話大手の一角でありながら近年は投資ファンドの性格を強めるソフトバンクグループ(SBG)。18日発表の2020年3月期決算(国際会計基準)は、携帯事業が堅調な一方、投資ファンド事業が大きく足を引っ張り、巨額赤字に転落した。

 本業のもうけを示す営業損益は1兆3646億円の赤字(前年は2兆736億円の黒字)、純損益は9615億円の赤字(前年は1兆4111億円の黒字)だった。いずれも15年ぶりの赤字で、赤字幅も同社としては過去最大だ。

 純損失をこれまでの上場会社の決算と比べると、かつて多額の不良債権を処理した金融業界を除くと、11年3月期の東京電力(1兆2473億円)、17年3月期の東芝(9656億円)に次ぐ巨額赤字だ。

 売上高は前年比1・5%増の6兆1850億円。グループの米携帯電話大手スプリントがTモバイルUSと合併し、4月にSBGの連結対象から外れ、その影響を過去にさかのぼって適用。結果的に売上高はわずかに増えた形になった。

ユニコーン」銘柄ふるわず

 「未曽有の危機だ。我々も大きな影響を受けた」。オンラインの記者会見で、孫正義会長兼社長は新型コロナの影響についてこう述べた。

 SBGは成長が見込める未上場企業に資金を投じ、上場後に利益を回収する投資に注力してきた。17年に立ち上げた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」では、世界中の投資家から集めたお金も含め10兆円近い資金を「ユニコーン」と呼ばれる有望企業88社に流し込んだ。

 目利き役は孫氏その人だ。若い経営者と意気投合して資金を投じるスタイルで、米シェアオフィス「ウィーワーク」やインドのホテル運営会社「OYO(オヨ)」などを見いだした。金融緩和で株価が右肩上がりの中、未上場の新興企業の価値も上がり、その評価益はSBGを潤した。

 しかし昨夏にウィーワークは乱脈経営が発覚して上場が頓挫し、年明け以降はコロナで投資先の経営が一気に悪化。破綻(はたん)する投資先も出た。17年からの累計の投資損益は1千億円の赤字になり、今回の決算でファンドの営業損失は1・9兆円に上る。携帯電話事業が過去最高の利益を出したのに、ファンドの損失がそれを吹き飛ばした。グロービス経営大学院の斎藤忠久教授は、「コロナの影響は仕方がない面もあるが、その前から有望なユニコーンを高値づかみしていたのが問題」と指摘する。

 孫氏は投資先の経営悪化につ…

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