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 主に発熱や目の充血、発疹などを伴い全身の血管に炎症が起きる原因不明の病気、川崎病と似た症状の報告例が、欧米で小児に相次ぎ、新型コロナウイルスとの関連が指摘されている。日本川崎病学会は「国内では欧米のような症例は確認されていない」としており、各国の報告を注意深く見守っている。

 新型コロナに関連するとみられる川崎病に似た症状の報告は、米メディアによると少なくとも米国の17州、英国やイタリアなど5カ国に上る。

 ニューヨーク市では18日までに145人の子どもに川崎病に似た症状が確認され、うち67人が新型コロナのウイルス検査や抗体検査で陽性と判明。ニューヨーク州全体では3人が亡くなっている。

 米疾病対策センター(CDC)は「小児多臓器炎症症候群」(MIS―C)と名付け、14日に医師向けに警告を発出。21歳未満で、高熱が下がらず、循環器や腎臓、消化器、皮膚など複数の臓器に炎症が出るケースで、新型コロナの感染が疑われる患者を報告するよう呼びかけている。

 18日に厚生労働省が改定した医師向けの新型コロナ診療の手引では、これを踏まえ、「小児では、川崎病様の症状を呈する事例が欧米から報告されている」と周知している。

 日本川崎病学会は5月初旬、日常的に川崎病の診療を担う医師56人にアンケートを実施。18都道府県32施設の34人からの回答を分析すると、今年2~4月に診断した川崎病患者数は前年同時期と比べて減少したか同程度の施設がほとんどだった。疑い例を含む小児の新型コロナ感染者は全て軽症または無症状だった。

 また川崎病患者のうち、肺に不鮮明な影が認められた1人に新型コロナのPCR検査をしたところ陰性だった。こうした状況から同学会は「川崎病と新型コロナの関連を積極的に示唆できるような情報は得られていない」との見解を出している。

 学会ではまた、欧米で報告された川崎病似の患者の年齢が、一般的に川崎病と診断される年齢(0~4歳)よりも比較的高いことに注目。現段階では、川崎病に以前かかったことのある子どもについても、①新型コロナウイルスに感染しやすい②新型コロナにかかると重症化しやすい③新型コロナにかかると川崎病を再発しやすい――という根拠をいずれも見いだせないため、必要以上に神経質にならなくてもよい、としている。

 アジア各国の医師と情報交換をしている東京女子医大八千代医療センターの浜田洋通教授によると、現時点では、川崎病の診療にあたるソウル市内の基幹病院では、川崎病の入院患者全員にPCR検査をしたが陽性者はいなかった。上海でも新型コロナ感染に関連する川崎病症例は報告されていないという。

 学会副会長の鮎沢衛・日本大准教授は、「海外の情報を注視しながら、引き続き学会でも国内の状況を確認し、患者さんの家族の不安解消にむけて情報発信していきたい」と話している。(熊井洋美、ワシントン=香取啓介)

 川崎病 1967年に日本赤十字社中央病院(当時)に勤務していた川崎富作医師が初めて症例報告。全身の血管に炎症が起き、冠動脈の後遺症が残ることがある。主な症状は、5日以上発熱が続く▽両目が充血する▽発疹が出る▽首のリンパ節が腫れる――など。国内の患者は増加傾向で、年間1万5千~1万8千人が診断される。発症の9割近くが4歳以下▽比較的男児に多い▽アジア系人種、特に日本人に患者が多い傾向が知られている。