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 疫病よけの神が新型コロナウイルスを退治してくれたら――。そんな願いを込めて、秋田県能代市上町の女性らが地元の守り神「鍾馗(しょうき)様」の巨大イラストを空き店舗のガラス戸に描いた。町内の中学生も夏祭り「能代役七夕(やくたなばた)」のシャチ飾りの絵に協力し、町をにぎやかにしている。

 イラストは全体が高さ約2メートル、幅約8メートル。ガラス戸8枚にわたって描かれている。「疫病退散」のフレーズとともに、赤いボールのようなウイルスを踏みつけているのは鍾馗様。地元の日吉神社で例年7月にある祭りで「上町組」の丁山(ちょうやま)(山車)に載せられる神様だ。ほかにも8月の役七夕で城郭灯籠(とうろう)を飾るシャチや、太鼓や笛を奏でる人々の姿が登場する。

 制作したのは、上町自治会の女性部「上町すみれ会」の会員ら約10人。目に見えない新型コロナの被害におびえる住民を励ますとともに、町を訪れた人を元気にしたかったという。

 助っ人として招かれた能代図書館司書の塚本はな子さんが全体をデザイン。3~4月に集まり、水性マーカーで色を塗った。お祭り好きの中学2年、見上(みかみ)七星(ななせ)くん(13)も、会員の祖母に声をかけられ、手伝った。

 イラストの鍾馗様は、腕時計をしたり、スニーカーを履いたりしている。ユーモアを込めて、会員が営む商店で扱う品々を紛れ込ませた。「着物のことなら村上呉服店」といった具合に、随所に店の宣伝文句も書き入れた。

 絵の最終仕上げでは、見上くんが会員の女性たちに「これから魂入れ式をします」と宣言。黒いマーカーを一人ひとりに渡し、シャチの目玉を塗るよう促した。実際の役七夕では、男性しか参加させてもらえない儀式ということもあり、「心が震えた」と感激した様子の女性もいたという。

 見上くんは「魂入れをするかどうかで、みんなの気持ちのこもり具合が違うと思った」。同会の平山はるみ代表は「新型コロナが終息するまで、みんなの不安は続くが、町を歩く人に少しでも楽しんでもらい、『またこの町に来たい』と思ってもらえるような絵にしたかった」と話した。(佐藤仁彦

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