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 障害のある子でも、オンラインでの学びに意欲的に取り組めるよう、津田塾大学(東京都小平市)の有志グループが、おすすめの教材や楽しい活用法などを紹介するサイトを製作した。休校が長引き、オンライン化が急速に進むなか、置いてけぼりにされる子を出してはいけない――。そんな危機感が背景にあるという。

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 サイトの愛称は「まなキキ」(http://learningcrisis.net/別ウインドウで開きます)。学びの危機に抗するプロジェクトの意味を込めた。英語、国語、算数・数学、理科、社会の5分野ごとに、おすすめのリンク集と、分野を担当した学生らによる「学び方の提案」がある。

 たとえば英語。単語の意味をイメージしながら学ぶために「画像検索」を使う方法を勧める。手話の動画辞書サイトなども視覚的に覚える手がかりとして紹介する。「好き」から入る手法として、野球などのスポーツニュースを英語で読めるサイトや、ポケモンを見ながら英語で聴く動画チャンネルを紹介するなど、工夫を凝らしている。

 英語を担当した国際関係学科3年の牧山遙香さんは中学生まで英語が嫌いだったという。「正解以外は不正解という授業がずっと疑問だった」。高校生のときに海外の人と交流して知った、英語の楽しさの入り口になるものをと心がけた。

 製作に携わるのは、同大インクルーシブ教育支援室の柴田邦臣准教授(46)の呼びかけに応じた学生や院生、若手研究者ら11人。

 同支援室は、障害の有無にかかわらず学びの機会を保障するため、ボランティア学生らが学内外で活動をしてきた。柴田さんは特別支援学校で3~4月、学習の仕上げと新学年開始という大事な時期が失われた子たちの悲嘆を知った。

 一方、学習面では各家庭でのプリントに偏りがちで、オンライン化も進む。「形ばかりが目的化し、中身が忘れられていないか。学びの意味が見失われてしまう前に誰かが何かをしなければ」

 利用を想定するのは、障害児だけでなく、学びに困難な事情がある小中学生。中心メンバーの松崎良美助教(33)は「勉強のような見かけはしていないけど、考えを深めていくきっかけになり、自分で調べて発信したいと意欲をかき立てる工夫をしている」と話す。

 説明に振り仮名をつけられるようにしたり、視覚障害がある学生の中川美枝子さんが音声ガイド機能などでの使いやすさをチェックしたりもしている。

 紹介する教材は4月27日の開設以来、約200に増えた。社会では、緊急事態宣言下でも現場に出て働く仕事の特集も。担当した院生の濱松若葉さんは「ごみ収集や宅配なども含め、いま社会に必要とされる意味を考える機会にできれば」。

 子どもたちに何ができるかと悩んでいるという特別支援学級の教師から、サイトを紹介したいとの声もあるという。柴田さんは「登校が再開しても『学び』になかなかなじめなかったり戻れなかったりするであろう、多くの子たちに焦点をあててやっていきたい」と話す。(井上恵一朗)