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 茨城県つくば市立桜中学校で、休校中の生徒らの学習をサポートしようと、卒業生で学習塾社員の小吹(おぶき)光(ひかる)さん(22)らが、テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」で生徒の質問に答えるボランティアを始めた。オンライン学習導入が遅れる公立校の学びを支えている。

 15日午後、小吹さんは勤務先の学習塾でパソコンに向かい、「いま何やってるの?」と画面越しに生徒2人に呼びかけた。男子生徒が「三角形に関する勉強」と内容を説明すると、女子生徒が「三平方の定理だよね。お姉ちゃんにもらった問題集で勉強しています」と会話に加わった。小吹さんは「ずいぶん進んでるじゃん」と笑顔で応じた。

 小吹さんは、今春大学を卒業し、4月からつくば市内の学習塾で働き始めた。だが、コロナ対応で対面の授業が休止になり、オンラインに切り替わった。

 中学と高校の国語の教員免許を持っており、「空いた日中の時間に、自分が培ったオンライン授業のノウハウをいかした無料塾を開けないだろうか」と考え始めた。

 先月下旬から、LINEで桜中学校の卒業生を対象に講師を募った。教員志望の大学生や、テレワーク中の会社員など20代を中心に有志10人が賛同してくれて、英語、国語、理科、社会、数学を教えられる態勢が整った。

 今月2日、中学校時代の教務主任で、昨年の教育実習でも世話になった校長の冨田竜夫さん(56)に勉強の手伝いを提案した。

 同校では学習上の質問も教員がメールで受け付けているが、リアルタイムで回答できる仕組みはない。冨田さんは教え子の申し出を快諾し、11日から無料塾の試みが始まった。

 毎週月、水、金曜日の午前と午後、希望者を対象に、学校からの課題の質問に応じている。参加者は10人~20人。ICT(情報通信技術)を使う環境がない生徒は、中学校のパソコンルームで利用できる。

 中学3年生の女子生徒(14)は「一人で勉強していると、ゲームをしたくなるが、画面にみんなが勉強する様子が映るので、教室と同じ雰囲気。やる気が続く」と話す。生徒の要望によって、画面に姿をさらさないことも認めている。

 緊急事態宣言の解除に伴い、つくば市内では21日から週1~2回程度の分散登校が始まるが、通常通りの学校再開の見通しはまだ先だ。小吹さんは「公平を重視する公教育と異なり、スピード感を持って対応できる民間の強みで母校の教育を支えたい」と話している。(鹿野幹男)