コロナ対策でむしろ赤字拡大? 福島の肉牛農家ら憤り

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福地慶太郎
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 原発事故の風評で価格低迷に苦しむ福島の肉牛農家が、新型コロナウイルスの余波で思わぬ割を食った。外食需要の落ち込みで全国的に牛肉価格が急落。国が全国の肉牛農家を支援しようと、14日に補助制度を変えたところ、福島の農家への交付額が減る見込みとなったためだ。

 この制度は通称「牛マルキン」と呼ばれる。えさ代などの生産費と販売価格を比べて赤字が出た場合、その額の9割を国費と生産者の積み立て金から補塡(ほてん)する。交付額は都道府県ごとに毎月算出できる仕組みで、今年度も同じ方式にするとみられていた。

 ところが、新型コロナの影響拡大を受け、農林水産省は東北や九州などのブロックごとに販売価格を算出して交付額を決める方式に変え、さかのぼって3月から適用することにした。ブロックごとに価格をならすことで、多くの県の農家が補助を受けやすくなる。

 一方、割を食うのが赤字の大きい県だ。販売価格が実際より高く算出され、元の方式より交付額が小さくなる。原発事故の風評が続く福島の農家も赤字が大きい傾向があり、「牛マルキン」による補助を繰り返し受けてきた。

 東北6県の2019年の和牛取引価格は、上位2県の山形や宮城と比べて福島は1割以上安い。福島県は4月からより多く交付金を受け取れるよう、風評被害が根強い県外市場の販売データの収集に力を入れてきた。県の試算では、交付金の増額が実現した場合より、ブロック算定の交付額は「1頭あたり10万円以上減る」という。

 制度変更を業界紙報道で知っ…

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