私が書いていた「関西遺産」は、もっぱら言葉、関西弁だった。「しゃあない」「なんでやねん」「かなんな・かなわんな」などなど。商売や生活の知恵が磨いた言葉の数々は、関西人がいかにコミュニケーションにたけているかの証明書のようなものだ。だが、この新型コロナウイルスの状況下にあって頭に浮かんだのは、「モロゾフのプリンカップ」である。
拡大する関西人の家には必ずある?モロゾフのプリンカップ=酒井羊一撮影
阪神大震災の1週間後。落語家の桂あやめさんは実家が損壊し、お母さんが亡くなるという悲しみのときに、高座に上がった。枕が秀逸だった。地震で世の中の価値観は一変し、男の選び方も「三高」(高学歴・高収入・高身長)から「何本ペットボトルやガスボンベ入ったリュックを担いで神戸まで行けるか」に変わる。そして「高級な食器はぜーんぶ壊れ、残ったのがモロゾフのプリンカップだけです。丈夫が一番!」。大きな笑いが起こった。
拡大するコップとして食堂で再利用されているプリンカップ。1度買えば2度「おいしい」、しかも丈夫=酒井羊一撮影
パンデミックという不条理を前…
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