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 妊娠の初期に胎児を覆う膜が、子宮の圧力から胎児を守っていることを、大阪母子医療センター研究所などのチームがマウスの実験でつきとめた。流産や不育症の原因究明に役立つ可能性がある。19日に米科学誌セルリポーツに発表した。(https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.107637別ウインドウで開きます

 ヒトやマウスでは、胎児が子宮内に着床すると、たんぱく質などでできた膜で覆われる。マウスでは「ライヘルト膜」、ヒトでは「ヒューザー膜」と呼ばれる。これまで、こうした膜には、母体から胎児へ栄養や酸素を送る役割があると考えられてきた。

 チームは、膜に異常があるマウスでは、胎児が子宮内の圧力で押しつぶされるように変形し、成長できないことを発見。子宮内の圧力を測ると、着床直後には、子宮が収縮する出産時と同じくらい高いことがわかった。膜が不完全だと、胎児が直接子宮内の圧力を受けることになり、影響がでるとみられる。

 ただ、薬で子宮内の圧力を弱めても、胎児はうまく成長できなかった。この時期の胎児の成長には圧力が重要なためとみられ、胎児がうまく育つには、膜がクッションのようになり、子宮内の圧力を適度に和らげることが必要らしい。

 ヒトの流産や不妊症の原因はわからないことも多いが、同研究所病因病態部門の松尾勲部長は「ライヘルト膜は、胎児を子宮の圧力から守る精巧な機能をもっていると考えられる。妊娠しやすい子宮の状態の理解や、不妊治療の進展につながる」と話している。(杉浦奈実)