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小説「一瞬の過ち」(3)

 私は部屋に戻った。どういうわけか古畑もついてきた。彼を招き入れるのは非常に危険だったが、断れば余計に疑われる。古畑は部屋に入るなり、「大泉さんが殺された時はここにいらっしゃったんですね」と言った。その話はとっくにしている。彼の狙いは一体何だ。

 「これはなんですか」と古畑がテーブルの上にあった袋を覗(のぞ)いた。その中には役目を終えた組み立て式拳銃が、ばらばらになって入っていた。まさか刑事が来るとは思わないから、出しっ放しにしていたのだ。ここで動揺するわけにはいかない。私は賭けに出た。袋を逆さにして、中身をテーブルの上にぶちまける。「なんだと思いますか」「なにかの部品のようですね」「趣味なんです。仕事が行き詰まってきたら、気分転換に組み立てるんです」「何が出来るんですか」。私はサイレンサーの部分を手に取って答えた。「アルトリコーダーですよ」「組み立ててみて貰(もら)えますか」

 断る理由が思いつかなかった。私は古畑の目の前で、拳銃の部品を使ってアルトリコーダーを作り始めた。数分後、なんとかそれらしく出来た手製の楽器を古畑に見せると、さも吹いて欲しそうな顔をしていたので、私は「コンドルは飛んでいく」を吹いてみせた。レンコンや竹箒(ぼうき)など、どんなものでも穴さえ空いていれば吹いてしまう特技は、大学時代に覚えたものだ。芸は身を助けるとはよく言ったものである。

犯人、怪しい理由は…
古畑任三郎はなぜ犯人が分かったのでしょう。皆さんからの回答メールをお待ちしております。宛先はmitani-furuhata@asahi.com

 しかし残念ながら、せっかくの…

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