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 新型コロナウイルスの影響で米国の食肉加工施設の操業停止が相次ぎ、豚肉などの流通が滞っている。トランプ大統領の大統領令もあって操業は再開し始めたが、従業員の感染の不安から供給は伸び悩む。低価格と効率を優先してきた供給網の「ボトルネック」が浮き彫りになっている。

拡大する写真・図版5月6日、米ユタ州の精肉店で売り場のカウンターを掃除する店員。新型コロナウイルスによる食肉加工施設の稼働停止や処理能力の低下で、食肉の流通が細ることが懸念されている=AP

 「近い将来、私もブタを安楽死させるかどうか決断を迫られるかもしれない」。アイオワ州エルマの農家トレント・ティールさん(36)は電話取材にそう語った。感染の第2波が来て、ブタが大きく育った時に加工施設が閉まれば、殺処分するしかない。近隣には既に処分を余儀なくさせられた農家もいる。

 米畜産業は、飼育や加工処理、小売りなど各段階で、在庫のムダを省く自動車産業のような「ジャスト・イン・タイム」の供給網が特徴だ。新型コロナは多くの移民労働者が密集して働く加工施設を直撃。全米食品・商業労働組合(UFCW)によると、5月上旬までの2カ月間に、全米で少なくとも30人の作業員が死亡し、30の加工施設が一時操業を止めた。豚と牛の処理能力は各40%、25%落ちた。

 加工施設で食肉処理できないブタの価格は暴落。ミネソタ州エジャートンの農家チャド・ルベンさん(27)は5月初旬、フェイスブックで大幅な原価割れとなる1頭80ドルで売り出し、遠方の農家などに150頭以上が売れたという。「安楽死させるのだけは絶対にイヤだった」と話す。

拡大する写真・図版米食肉加工施設の稼働停止や処理能力の低下で値崩れが起きたため、米ミネソタ州の農家チャド・ルベンさんがフェイスブックで売り出したブタ=ルベンさん提供

 米食肉加工大手タイソン・フーズは4月26日、米主要紙に「施設が再開できるまでは供給が限られる」とする広告を載せた。トランプ氏は4月下旬、マスク増産要請などにも用いた「国防生産法」に基づく大統領令で「肉類の継続供給を確保」するよう指示。大統領令に強制力はないが、企業が感染した従業員から提訴された際、企業側に有利な材料となる。トランプ氏は「タイソンと協力している。大統領令を出せば、彼らの法的責任の問題が解決できる」と露骨に述べた。

働かざるを得ない移民労働者

 「加工施設はかつてないほど清潔になり、多くが操業を始めた。我々が動かなければ大変なことになっていた」。トランプ氏は19日、ホワイトハウスで畜産団体幹部らに会い、大統領令を実績として強調した。

拡大する写真・図版5月19日、ホワイトハウスに業界団体幹部らを集め、食料のサプライチェーンについて語るトランプ米大統領(左)とパーデュー農務長官=ロイター

 大統領令を受け米農務省は5月…

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